新日本製薬 AI肌診断などアプリ強化

 新日本製薬は、2025年9月期に総売上高に占めるEC化率20%を計画する(海外を含む)。一環として、アプリを起点にした顧客接点を強化。昨年11月には、AI肌診断機能を追加するなどコンテンツの充実を図る。

 これまでウェブは、購入時の利用などECに限られていた。アプリでは、会報誌が閲覧できる機能や、シミや乾燥など肌の注意報付き天気予報など美容関連情報の配信を強化。歩数計や占いなどのコンテンツ充実、限定クーポン配布も行い、EC以外の顧客接点を増やす。

 コロナ禍におけるマスク着用の習慣化による肌荒れ、外出機会の減少でカウンセリング機会が減る中、昨年11月には、AI肌診断などアプリの機能を充実させた。

 Novera(東京都渋谷区)が提供するAI肌診断システム「スキンセンス」を導入した。化粧品販売員やメイクアップアーティストなど200人以上の専門家が見た肌の印象データを学習させたもの。シニア世代のユーザーが多いことから使いやすい設計にこだわった。

 AI肌診断では、スマートフォンのカメラで撮影した顔の画像から肌状態を分析。「シワ、キメ、シミ、透明感、潤い、毛穴」の6項目をスコア化し、「肌質」、「肌年齢」を算出する。診断結果から、最適なスキンケア商品の提案でアップセル、クロスセルにつなげる。ユーザーの利用データを商品開発に活かすことも検討する。

 現在の顧客基盤は、60代以降のシニア世代が中心。昨年9月に立ち上げた20~30代向け「パーフェクトワンフォーカス」は、デジタル投資の拡大で今期に7億円の売り上げを想定する。同10月にリブランディングを行った主力の「パーフェクトワン」も40~50代の獲得を強化。中国をはじめ海外でSNSやライブコマースを活用した施策によりEC化率の向上を図る。

 アプリの累計ダウンロード数は約4万件。ツイッター広告やダウンロード特典として商品購入に使える1000円クーポンを提供して新規獲得につなげる。メルマガや公式LINEアカウントでの案内で既存顧客の利用も促す。「まだ多くはないが、1年前と比べ利用ユーザーは2倍に伸びた」(同社)とする。利用も40~50代が中心で、「パーフェクトワン」ユーザーより若い世代と接点を築く。

 現状、商品購入はアプリからECサイトへの誘導で行う。購買行動データとひもづけた詳細なデータ分析に向け、時期は未定だが、アプリ内に決済機能を導入することも視野に入れる。

 21年9月期のEC化率は約12%(約41億円、海外を含む)。海外はほぼECのため、国内売上高のEC化率は9・7%(約32億円、本紙推計)とみられる。今期は総売上高に占めるEC化率で14・6%、国内のみで同11・4%(本紙推計)を計画する。

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