アスクルが大規模な販促キャンペーンを開始した。昨年10月に受けたサイバー攻撃で商品の受注・出荷が制限される事態に陥った影響で事業者向け通販、個人向け通販ともに大きく業績が落ち込んでいる。出荷体制がサイバー攻撃前の状態にほぼ戻った1月から過去最大規模の販促に打って出て、競合他社などの流れてしまった顧客を再び取り戻し、業績回復を急ぎたい考えのようだ。
アスクルは1月23日から事業者向け通販「ASKUL」「ソロエルアリーナ」で販促キャンペーン「復活特別企画」を開始した。まず、シーズン商品や賞味期限が近い食品などを中心に約4000点を3割引以上の割引価格で販売するアウトレットセールを実施。続いて1月30日からコピー用紙やクリアーホルダー、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ガムテープなどの文具や日用品などのPB商品、500点以上を2割引以上の割引率で販売する取り組みを始めた。同社によると利益率の兼ね合いからPB商品を、かつ500点以上という多品番でこうした高い割引率で販売することは過去のセールでも行ったことはないよう。その後、2月下旬からはメーカー品の割り引きを行う「メーカー商品セール」、4月上旬にはまとめ購入時に売価を割り引く「ASKULイチ推しまとめ割」をスタートさせる。
また、個人向けの日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」も3月上旬から大型セールを実施する予定。詳細な内容は明らかにしていないが、事業者向け通販での施策同様、飲料や食品などのアウトレットセールやまとめて購入した場合に割り引く「まとめ割」の対象商品を拡大したり、割引率を通常よりも高める施策を打っていく模様。あわせてグループのLINEヤフーやPayPayと連携した集客策を強化していくようだ。
こうした大型キャンペーンに投下する販促費は明らかにしていないが、今期の中間配当は無配として、その原資の一部を販促策を含む売上高回復に向けた取り組みに投下する模様だ。また大型販促によって「粗利益率の低下に当然、影響が出ると思うし、今期のボトムライン(利益)がどうでもよいということではないが、利益よりも今期にしっかりお客様、売り上げを戻して、来期からの正常化を果たしていきたいと思っている」(玉井継尋取締役)としており、下期および通期の売上総利益率の悪化は覚悟の上で販促を仕掛けていくようだ。
同社は昨年10月19日に身代金要求型コンピューターウィルス「ランサムウェア」による攻撃を受けて物流システム(WMS)に障害が発生以降、事業者向けおよび個人向けの中反事業とも出荷・受注を停止。その後、事業者向け通販は一部商品で受注・出荷を再開したものの、WMSを使用できないため、出荷の難しい単品ではなく原則、箱単位での出荷を手運用で行わざるを得なくなっていた。昨年12月15日から再構築したWMSを使った商品出荷を再開し、年明けにはほぼすべての物流拠点で通常出荷が可能になり、販売可能商品もサイバー攻撃前とほぼ同様となった。また、「ロハコ」も1月20日から受注を再開したものの、受注・出荷の停止および制限があった昨年11月の月次売上高の大幅な減少が響き、今上期(6〜11月)の売上高は前年同期比12.3%減の2087億2500万円。売上減と物流効率の悪化などで利益面は赤字で営業損失は29億9500万円(前年同期は60億2800万円の利益)、経常損失は38億1400万円(同59億2000万円の利益)、中間純損失は66億1200万円(同37億3900万円の利益)となり、減収減益と苦戦を強いられている。
ただ、今年1月度の月次業績は事業者向け通販事業であるASKUL事業の売上高は前年同月比30.4%減の168億8400万円と昨年実績の7割程度まで回復している。「1月の月次売上高は全体で(前年同月比で)7割程度となっているが月後半はさらに回復してきている。これはランサムウェア攻撃を受けて作った復旧計画よりも若干、よりペースで回復してきている。ただし、これから先(※残りの3割を回復させること)が本当の勝負だと思っている。1月末から始める大型販促で今期中の完全回復を目指したい」(玉井取締役)としている。