良品計画では、スマホアプリ「MUJI Passport(ムジ・パスポート)」のダウンロード数が年々増加しており、同アプリを通じた通販サイトへの集客などにも効果が表れている。
同アプリは商品購入や実店舗チェックイン、くちコミ投稿などを行うことでリアルとネットで利用可能なマイルが貯まるというもの。累計ダウンロード数については2015年が612万件で、その後16年は846万件、17年は1092万件、18年は1340万件、19年は1676万件と年々増加。
実店舗と通販サイトを合わせた会員実績については、会員ユニーク客数が18年は前期比17・2%増であったのに対して、19年については前期比28・5%増と伸長。年間平均来店回数についても18年の5・78回から19年は6・00回と向上傾向にある。新規メンバーとしては主に10代といった若い世代の構成比が上がっているもよう。
同アプリでは昨年3月より、店舗発の情報発信を開始。スタッフのお勧め地域の情報など個別店舗ごとに地域に合わせた情報発信を全店舗で開始し、記事数は20年4月時点で4万件、1店舗当たり約80件の記事を配信している。
また、本部配信の情報も刷新しており、毎週金曜に新商品やお得な情報を「週刊MUJI」として配信。毎週10万以上の閲覧回数があり、通販サイトへの来店機会上昇にもつながったとした。
20年2月期の決算説明会では「文字通り、既存店売上高の前期比プラスを支えており、客数増に大きく貢献している。会員ユニーク客数が着実に増加し、お客様の裾野が広がり続けている」(松社長)と評した。
中国でのECが好調に推移
アプリを起点とした集客強化は海外事業でも同様に展開しており、ダウンロード件数については、中国大陸が日本を上回る2111万件となったほか、台湾は207万件、韓国が105万件と続いており、欧州では初めてフィンランドでも開始し、順調に会員数を伸ばしている。
関連して、海外事業では中国大陸でのEC事業が好調となっている。四半期別の対前年同期比売上高伸び率を見ると1Qが30・8%増、2Qが41・3%増、3Qが34・2%増、4Qが59・5%増と推移。現在は自社通販サイトのほか14年から「天猫(Tmall)」、18年から「京東(JD.com)」での販売を行っている。19年については京東と共同での販促を進め、クーポン配布、モールのトップバナーでの露出、「Super brand day」への参加をすることで販売額が前期比300%以上となり、年間でのEC売上高構成比が前期比2・5ポイント増の11%まで上昇した。
加えて、下期では11月11日の「独身の日」において販促を強化した結果、大幅な売り上げ増を達成している。