ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは7月17日、2023年度におけるふるさと納税の寄付動向を発表した。地場産品基準の厳格化や、経費に関する規定の厳格化が10月にあったことを受け、9月に駆け込み需要が発生。また、漁業支援や災害支援への寄付が増加するなど、例年とは異なる傾向がみられたという。
中国による日本の水産物の全面禁輸を受けて、日本の海産物を支援する動きから8~9月はホタテへの寄付が急増したほか、1月の能登半島地震を受けて「ふるさとチョイス災害支援」(原則お礼の品はなし)へ、20億円を超える寄付が集まった。被災していない自治体が被災した自治体の代わりに寄付を集める「代理寄付」を行う自治体数や「代理寄付」を通じた寄付も過去最多となったという。同日開催された記者会見で、川村憲一社長は「自治体を応援する『共助』という考え方が、23年度のキーワードになった」と振り返った。
また物価高の影響を受け、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、洗剤といった日用品のほか、日常的に食卓に並ぶサケなどを返礼品として受け取る消費者が急増。こうした傾向は2024年度に入ってからも続いているという。特に、価格高騰や値上げのあった品に寄付の集まる傾向があり、今年4~6月では、5月に値上げがあったオリーブオイルが人気となった。
23年度のふるさと納税寄付額は1兆円を超える見込み。ただ、近年はポータルサイト間のポイント付与競争が激化しており、6月には総務省がふるさと納税の指定基準の見直しを定めた告示を改正。来年10月からポータルサイトでのポイント付与が実質的に禁止となる。これに対し、楽天グループでは反対の意思を表明しているが、川村社長は「ポイント付与がふるさと納税の拡大に寄与してきた部分はあるが、制度を歪めるような形になってしまっているなら、変える必要がある」と賛意を示した。
その上で、今後の同サイトについて川村社長は「これまで以上に(寄付の)使い道にフォーカスをしていく。そして、返礼品は地域活性化に繋がる要素があるので、商品開発の価値を追求していきたい」と述べた。