楽天やアマゾンなどのスピード配送、さらには宅配ボックスやコンビニエンスストア受け取りなど配送関連サービスが注目された2015年。一方で、特商法・消契法や個人情報保護法など、EC企業に大きく影響する法律の改正も見逃せない。毎年恒例となった、本紙編集部が選んだ10大(重大)ニュースを紹介する。
【1位】「スピード配送」導入広がる
数年前から増えている「注文当日の配達」サービスだが、2015年は大手各社が「注文から数時間以内で届ける」サービスを相次いで打ち出した。
楽天では8月から、注文から最短20分で商品を届ける短時間配送サービス「楽びん!」を手掛けている。スマートフォン専用サービスで、楽天市場の一部商品のほか、飲料や食料品、日用品などを注文から平均1時間で配送。対象となる地域は都内一部で、24時間注文を受け付けている。
アマゾンジャパンが11月に始めたのが、日用品など約1万8000点を対象に都内の一部地域で展開するスピード配送サービス「プライムナウ」。受注後1時間以内に商品を配達する「1時以内配送」は利用したユーザーから「本当にすぐに届いた」など驚きの声がSNS上で拡散しており、大きなインパクトを与えたようだ。
両社のサービスは同じ即時配送とはいえ、毛色が違う。アマゾンは年会費として3900円を徴収する有料会員向けのサービス。つまり、「プライムナウ」は有料会員の新1位 「スピード配送」導入広がる規獲得や囲い込みのためのサービス拡充の一環というわけだ。これに対し、楽天はまだ取り扱い品目も少なく、ネットスーパー的位置づけといえるが、自社商品のみのアマゾンと違い、楽天市場の商品も取り扱うのが特徴。出店者向け物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」との融合も期待される。
スピード配送は、コストがかかるため別途送料を徴収せざるをえない上、すぐに必要な商品は消費者もコンビニ等で買うことが多いだけに、日常的に利用する層が今後どの程度増えるのかは現状では何とも言えないところ。こうした中で注目されるのは、ヨドバシカメラの動きだ。
同社では注文から約6時間で商品を配送する「エクスプレスメール便」を、15年2月から都内で試験的に開始。楽天やアマゾンと違い、追加料金が発生しないのが大きな特徴だ。現在、通販サイトでは約400万点の商品を扱っているが、同サービスに対応するのは65万点と多数。年内にも都内全域に拡大する模様だ。
スピード配送には課題もあり、需要見極めも難しいが、こうした動きが日用品を扱うEC企業などへも拡大する可能性もありそうだ。
【寸評】
トータルでみればコスト増も、購入の“習慣づけ”は大事だ。無料のヨドバシの動きに注目。