最新テクノロジーを使いこなせ!ーーEC各社のAI活用最前線

 近年、AI(人工知能)の技術が大きく進化してきたことでAIを活用して新たなサービスを展開するEC事業者も目立ってきた。また、AIを業務効率化に生かそうとする動きも増えてきている。通販・EC事業者のAI活用の現状はどうなのか。注目すべき各社の動きを見ていく。

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体験型店舗で“似合う”を解明

 まずはAIを活用して新たなサービスを展開し始めた事業者の動きを見ていく。

 ZOZO(ゾゾ)はAIなどを活用して購入前の顧客接点を強化している。1年ほど前にスタートした体験型店舗「niaulab(似合うラボ)byZOZO」ではAIとスタイリストの知見を融合させたコーディネート提案で成果が出ているほか、5月9日にはファッションコーディネートアプリ「WEAR(ウェア)」をリニューアル。AIによるファッション診断機能や、AR(拡張現実)活用のお試しメイク機能を実装するなど、“似合う”が探せるアプリに進化させた。

「似合うラボ」では AI とスタイリストのノウハウを組み合わせて体験者の 「WEAR」は初回起動時に好きなコーデ画像を選ぶと AI が好みを診断してくれる “似合う”を見つけてきた

 ゾゾはファッションEC専業モールでは一人勝ちの状態だが、「今後の成長に向けては『ゾゾタウン』での販売だけでなく、上流を押さえることが大事」(澤田宏太郎社長兼CEO)とし、2年前に追加した「ワクワクできる“似合う”を届ける」という経営戦略に沿って、消費者がファッションアイテムを購入する前の情報収集や、自分に似合うものを探す段階での接点作りを強化している。

 その取り組みのひとつが、2023年2月に始動したパーソナルスタイリングサービス「似合うラボ」で、AIとスタイリストのノウハウを組み合わせることでラボ体験者一人ひとりに似合うスタイリングを提案してきた。

 ゾゾによると、2024年4月までに「似合うラボ」には11万人の応募があり、約1000人が体験。満足度は10点満点で平均9.2点と高く、96.6%の体験者が「似合うが見つかった」と答えた。

 体験者のその後30日間の行動を分析すると、「ゾゾタウン」への訪問頻度は約1.5倍、購入金額は約2倍に増えており、「広告投下で同様の効果を得るのは大変なこと」(澤田社長)と強調する。

 “似合う”の解明については、ラボ体験者との会話や体験後に実施したヒアリングの分析結果から、現時点における同社なりの“似合う”を構成する要素として、「ジャンル」「味付け」「与えたい印象」「体型の悩み」の4つを導き出した。

 ジャンルは「きれいめ」「モード」などファッションの系統を分類したもので、味付けは「あっさり」から「こってり」まで複雑なファッションかどうかを5段階で分類した。

 与えたい印象は「エレガント」や「大人っぽい」など、どのような印象を与えたいかを分類したもので、体型の悩みは足が短い、太ももが太いなどユーザーが抱える悩みをアイテム選びや着こなしなどでどう解消できるかをまとめたものだ。

 4つの要素の中身は人の好みや悩みによって異なり、それらの構成比も人によって異なるため、これらを組み合わせることで、その人の“似合う”が見つかるという。

 「WEAR」のリニューアルに際しては、“似合う”構成要素の「ジャンル」部分をファッション診断コンテンツに反映させた。

好みの傾向を円グラフで表示

 「WEAR」はリアルのコーデから最新のトレンドを知ることができるアプリで、2013年10月にスタート。累計ダウンロード数は1700万を突破し、コーデ投稿総数は1400万件以上。公式人気ユーザー約500人を「ウェアリスタ」と認定し、モデル、インフルエンサーなどの著名人も参加している。

「WEAR」は初回起動時に好きなコーデ画像を選ぶと AI が好みを診断してくれる

 今回、ゾゾは「WEARbyZOZO」としてリニューアル。ファッションの好みのジャンル傾向が分かる「ファッションジャンル診断」機能と、インフルエンサーなどが登録したフルメイクデータをARで自分の顔に乗せて試すことができる「WEARお試しメイク」機能を新たに提供する。

 報告体制の見直しに、消費者庁は、「現時点で食品表示法改正の検討事実はない」(食品表示企画課)、厚労省は「原因究明をもとに再発防止策として何ができるか検討する」と回答した。PTで大西議員は、「今国会による審議で法改正しないといけない」との決意を示した。

 一方、会合後、厚労省官僚は、「(総点検で)小林製薬の販売している3製品以外問題ないとなれば、これに焦点を絞り原因究明できる」との考えも示しており、「小林製薬固有の問題」として解決を図る可能性もある。

 「ファッションジャンル診断」は、アプリ初回起動時の診断画面(オンボーディング画面)に表示されるコーデ画像の中から、好みの画像を5枚以上、最大40枚まで選ぶことでAIがユーザーの好みを診断する。

 診断結果はガーリー、きれいめ、ナチュラル、シンプル、モード、ストリートなど12種類のファッションジャンルの中から最大3ジャンルで構成される円グラフで表示する。好みのジャンル傾向は全144パターンとなるが、円グラフ内の各ジャンルはパーセンテージまで落とし込み、AIがユーザーの好みを数値化することで、自分では意識していない好みを発見することができる。

 「WEAR」に投稿されている1400万件以上のコーデ画像もそれぞれジャンル傾向が分析されているため、診断結果画面からユーザーの好みのジャンル傾向とグラフの構成が近いコーデを検索できるほか、コーデ検索の絞り込み機能では最大3つのジャンルを任意で選択し、選んだジャンルで構成されたコーデの検索も可能だ。

 好みのジャンル傾向のグラフは閲覧したコーデをもとに順次変化するため、好きなタイミングで再診断できるいう。アプリのホーム画面は診断結果や閲覧履歴をもとにパーソナライズされ、ユーザーの好みに近いコーデをレコメンドするなど、ファッション特化のAIを活用したパーソナライズ化を推進する。

 多くの消費者がSNSやウェブサイトを通じてファッションの情報を検索しているものの、欲しいファッションアイテムやコーデ情報をうまく言語化できず、検索時に求めている情報に出会えていないという課題を「WEAR」のリニューアルによって解消するとともに、自分で認識できていないファッションの好みをグラフとして表示することで、イメージするコーデと精度の高いマッチングを実現するという。

フルメイクをARでお試し

 今回、「WEAR」ではメイク投稿ができるようになった。これまで「WEAR」が提供していたファッションコーデ投稿と同様に、メイク投稿では使用したコスメをタグ付けして画像や動画を投稿できるため、「ゾゾタウン」で販売している商品はメイク投稿
詳細からスムーズに購入可能だ。

 また、メイクをした顔をスマホで撮影することでARのメイクデータとして登録する機能や、登録されたメイクデータをARで自分の顔に乗せて試せるサービスもスタート。ARメイクは好みの濃淡に調整することや、ボタンひとつで試着のオンオフを切り替えることができる。

 リニューアル時点では若年層から支持されている80人のインフルエンサーのフルメイクを含む約500種類をARで試すことができ、順次、追加する予定だ。

 なお、リニューアルに合わせて「ゾゾタウン」とのデータ連携を強化。ユーザーは「ゾゾタウン」のIDと
「WEAR」を連携すれば、「ゾゾタウン」でお気に入り登録しているブランドのコーデや、過去に購入した服を使用したコーデを「WEAR」で簡単に探せるようになるため、「ゾゾタウン」を使えば使うほど、「WEAR」の体験がリッチになる。

メタバース上で接客するAI店員

 通販専門放送局を運営するQVCジャパンはRelic(レリック)が提供するウェブメタバースサービス
「MetaMe(メタミー)」内に同社が23年12月15日から24年4月14日までの期間限定で公開していた同社の本社屋を模したメタバース空間で販売中の商品の画像や説明文を表示し、同社の通販サイトに誘導するショッピングスペースなどを設けた「メタバースQVCお買い物PLAZA」内にAIを活用してユーザーに対して推奨商品の提案や質疑応答などを行う接客機能を実装した。

QVC ジャパンのメタバース空間に導入した対話を通じて当該ユーザーの好みに合致す るおすすめ商品などを提案する AI 店員の「グル metaQ(グルメタキュー)}

 このAIによる接客機能「グルmetaQ(グルメタキュー)」は「メタバースQVCお買い物PLAZA」内で販売中の商品などを紹介・展示しているショッピングスペースのうち、調理器具や食品を紹介・販売する「キッチン&フード」のブースに店員に扮したキャラクターとして設置した。

 利用者が「〇〇のような商品を探している」などの質問をチャット機能でテキスト入力すると返答をテキストで表示したり、音声で読み上げる。また、
「キッチン&フードに関する情報をご提供いたします。何か気になるものございますか?」などと表示し、質問を通じて顧客からの返答を促し、顧客ニーズの探索を行うほか、販売中の商品について推奨品として提示なども行う。24年3月9日から導入し、「メタバースQVCお買い物PLAZA」が公開を終了する4月14日まで稼働させた。

 この「グルmetaQ」はNTTドコモとPKSHATechnologyが開発した「アバターAI」を活用したもの。ショッピング空間における同技術運用は今回が初めての試みとなるという。(※28~33ページの「新潮流」に関連記事掲載)

AIで店舗の運営効率化支援

 EC事業者の業務の効率化や改善のためのサービスも増えてきている。楽天グループは4月30日から、仮想モール「楽天市場」出店者がAI技術の基礎知識やAIツールの活用法について学べる出店店舗向けの動画講座「楽天AI大学」を公開した。ネット通販のノウハウを提供する学習サービス「楽天大学」によるEラーニング型動画講座「Rux」におけるコンテンツとなる。出店者のAI活用を推進することで、店舗運営の効率化や生産性向上の支援をさらに加速させる狙い。

 同社では2024年3月、AIを活用した店舗運営支援ツール「RMSAIアシスタントβ版」を、出店者向け店舗運営システム「RMS」において提供を開始した。同ツールは、商品の説明文生成や商品画像の加工、ユーザーへの問い合わせ対応用の文章生成、自店舗の売り上げ傾向などのデータ分析・解説、店舗運営に関する疑問を解消するためのAIチャットボットなど、店舗運営の日常業務に関わる機能を備えている。

 例えば、文章を作成する機能では、商品名や商品画像、基礎商品情報などから、商品説明文を作成・提案する。また、画像の加工機能では、商品画像の背景を加工し、利用シーンに合わせた商品画像を提案する(24年6月提供予定)。さらに、ユーザー問い合わせ管理機能「R-Messe」における、AIを利用した問い合わせ回答作成支援として、ユーザーからの問い合わせ内容と出店店舗が記入した回答概要をもとに、回答文を生成する機能もある。データ分析機能「R-Karte」における、AIを利用した店舗カルテ分析支援では、自店舗へのアクセス人数や客単価、転換率などの指標を中心に分析し、前年対比での売り上げ傾向や特徴を解説する。出店店舗向けAIチャットボットにおいては、出店店舗からの問い合わせへの対応に加え、文章の要約や構成などにも対応する。

 楽天AI大学では、AI技術に関する理解促進と店舗運営におけるAIツールの活用推進を目的として、AIの基礎知識に加えて、AIアシスタントで提供する各機能の利用方法や他店舗の活用事例などを学ぶことができる。将来的には、ビジネスパーソン向けのウェブメディア「楽天大学ラボ」においても、業界の有識者の知見を交えたAIに関する知識や教養を身に付けるための動画コンテンツを一般ユーザー向けに配信するなど、順次コンテンツを拡充する計画。

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