ネット販売支援などを手がけるメンバーズは2月26日、機能や価格を訴求する従来のコンテンツと、「CSV」と呼ばれる社会課題解決型のコンテンツのそれぞれのアプローチでコンバージョン(CV)にどのような違いが出るか比較調査した結果を発表した。それによると、CSV型による訴求は通常コンテンツよりもCV率が5・5倍にのぼったという。
CSVとは「共通価値の創造」などと訳される。企業が社会課題の解決を通じて企業の利益と社会的価値をともに創造するという戦略。CSR(企業の社会的責任)と近いが、社会問題の解決だけでなく利益追求という側面にもフォーカスしている点がCSVの特徴のようだ。
メンバーズの調査では、トレンドマイクロの製品「ウイルスバスター クラウド」の機能や価格面を訴求する通常のコンテンツのほかに、トレンドマイクロの特定のセキュリティ防御技術にフォーカスしてその社会課題解決への取り組みをコンテンツ化した。
具体的には通常型コンテンツでは製品の市場シェアなどを訴えていたが、CSV型では冒頭に「すべての人が安心して、インターネットを楽しめる世界の実現。それがトレンドマイクロの願いです」と訴求した(=画像)。
通常型コンテンツとCSV型でそれぞれランディングページ(LP)を作成。2017年9月1日から10月21日の期間、各LPに接触したユーザーが「ウイルスバスター クラウド体験版」を利用するか比較検証した。その結果、CSV型コンテンツのLPを見たユーザーは通常型LPを閲覧したユーザーに比べて「体験版」の利用数が5・5倍になったという。
この比較検証に携わったメンバーズ執行役員の西澤直樹氏はCSV型コンテンツについて「従来型のPDCAの発想では生まれない」と述べる。西澤氏によると、ネット上でのマーケティングはさまざなデータを収集できるため、逆に数字偏重型になりやすいという。「CV率を1%から1・2%に改善することも大事だが、残りの99%に目を向けることも大切」(西澤氏)と指摘する。