効果的な次なる“打ち手”とは? 注目各社に見る成果あげるEC販促策

ネット販売を含む小売り事業者にとって永遠のテーマの1つであり、常に頭を悩ますのが「販促策」だろう。効果のある施策であっても、それがいつまでも効力があるわけでない。また、斬新な打ち手でユーザーの目を引けてもそれが成果に必ずしもつながるわけでない。ネット販売各社はその時々で定番ながら手堅いものや最新の手法を使い分けながら、その時、効果を発揮するであろう販促策を日々、実施している。有力各社が行っている販促策から、注目すべき“打ち手”を見ていく。

スポンサードリンク

【事例① タカラトミー】

通販送客に「ユーチューバー」や
「ニコニコ生放送」を活用

動画による販促活動に取り組む自社通販サイトの「タカラトミーモール」

玩具メーカーのタカラトミーでは昨年よりウェブ動画を使った販促活動を強化しており、自社通販サイト「タカラトミーモール」への送客につなげている。
昨年夏に実施したのは、同社の車玩具ブランドの「トミカ」好きで知られる子供ユーチューバーの「がっちゃん」を起用した動画投稿キャンペーン企画。昨年の主力商品である「トミカワールド メカアクション 自動車工場」について、実際にがっちゃんに遊んでもらっている様子の動画を撮影して、がっちゃんの公式ユーチューブ動画やランディングページなどで公開していった。

「ニコニコ生放送」では通販担当の社員が出演して、テレビショッピング形式での放送を行った

それと同時に、顧客にも同商品で遊んでいる様子の動画を自身のツイッターに上げてもらう「投稿」型のキャンペーンを実施。上げられた動画をコンテスト形式で選出していきランディングページで紹介する企画を展開した。顧客参加型でウェブ上で盛り上がる企画を実施したことで拡散が進み、多くの投稿を受けたという。「がっちゃんの実演動画自体も(2016年7月時点で)470万件以上の再生数となり、商品の認知拡大に大きく寄与した。「がっちゃんが扱った時点ですでにプロモーションになっているのだが、投稿型キャンペーンにしたことでみんなが動画を真似してアップし、またそれぞれの友だちがその動画を見てくれるという効果があった。テレビCM的な拡散ができたと思う」(同社)と説明した。実際に通販以外も含めた購入者全体への任意アンケートの結果では同商品の「商品認知経路」がテレビCMとほぼ同数の結果となり、費用対効果で大きな意味があったという。
通販への送客としてはランディングページと購入ページをリンクさせており、そこからの集客が加速。結果的に昨年の通販ラインアップの中では際立ってヒットした商品になったという。

通販担当の社員も出演して、

テレビショッピング形式で紹介

ユーチューブ以外のウェブ動画コンテンツでは、インターネット放送番組の「ニコニコ生放送」も活用していた。「タカラトミーちゃんねる」と題して、毎週、同社の通販担当部署の社員が出演し、ネット限定のオリジナル商品企画が完成していく過程などを視聴者も見てもらうという内容で放送。番組の放送時間は30分~1時間程度で、中でも特に好評だったのがテレビショッピング形式での宣伝企画だった。

昨年秋に放送したものでは、人気漫画の作者とコラボレーションしたキャラクターグッズ「猫のぽんた」(2種類のぬいぐるみでのセットなど)の宣伝を兼ねた放送がある。キャラクターデザインを担当した作者本人の自宅を使って撮影を行ったもので、テレビの通販番組のようにインセンティブを取り入れた内容で展開。放送時間中に同社の通販サイトで同商品を予約注文したり、セットで購入予約した視聴者に対しては、サインや直筆のイラストをポストカードに書いて“おまけ”としてプレゼントすることを即興で決めていくなど、視聴者にもメリットのある形で番組を盛り上げていったという。「放送中にコメントが出たり、アンケートも取れるので、すぐに視聴者の反応が分かる。番組では漫画家の先生の自宅にいるキャラクターのモデルとなった猫も実際に登場させたりするなど、とにかく興味を持たれるような内容で演出していき商品の良さを伝えていった」(同社)とした。
元々、同商品については作者がウェブ版のコミックでキャラクター漫画として掲載しており、そこからSNSで拡散されていき人気に火がついたという経緯があった。フォローワーも数十万人規模で付いていたため、ネット利用者との親和性が高いという下地が整っていたという。放送後もフォローワーが増え続けるなどキャラクターそのものの人気も更に拡大。商品自体の売れ行きも好調で、受注生産ながら短期間で大きな売り上げをつくることができたようだ。
現在では「ニコニコ生放送」での宣伝・露出は一旦休止しているが、これをユーチューブに引き継ぐような形で動画活用は継続している。通販サイト内でも公開しているのが、ユーチューブによる専用動画コーナーの「タカラトミーモールTV」。こちらも、同社の社員が登場して話題の商品や新商品を紹介するもので、実演形式で玩具の遊び方を解説している。動画下には購入ページへのリンクもあり、商品の宣伝だけでなくネット販売に直結するツールとしても活用が進んでいるようだ。「ユーチューブは昔からあるので古いものと捉える人もいるが、今ではマス(メディア)になりつつある。もちろん、ニコニコ生放送での活動も面白いのだが、将来の夢が『ユーチューバー』と言うような子供達もいるぐらい幅広くユーザーがいるコンテンツなので、改めてユーチューブでマスを取りに行くという考え方になってきた。ニコニコ生放送と違ってリアルタイムで視聴者との対話ができない部分は、SNSなどを使って補完していきたい」(同社)とした。

「リカちゃん」50 周年記念に向け

公式ページで盛り上げ演出

子供ユーチューバーの「がっちゃん」を立てた顧客参加型のキャン ペーンを展開

また、動画以外のウェブ販促として商品ブランドのオフィシャルページやファンページからの訴求にも力を入れている。
中でも2017年に50周年を迎えるリカちゃんについては、周年記念を前に新商品を相次いで投入。2015年より大人の女性もターゲットとした高価格帯の「LiccaStylish Doll Collections (リカ スタイリッシュドールコレクション)」シリーズを通販サイト限定で発売したほか、今年もファッション性に特化した新シリーズとして「Licca Bijou Series(リカビジューシリーズ)」を6月から店頭も含めて発売している。
周年記念をウェブからも盛り上げる仕掛けとしてリカちゃんのオフィシャルページを開設しており、SNSとは異なる切り口でこれらの大人向け商品をPR。「いわゆる定番の子供向けリカちゃんの世界観ではなく、大人向けに興味を持たれるようなページ作りをしている。これまでSNS用などにストックしていた(大人向けリカちゃん)の写真素材も見せられる場なので、アーカイブ的な使い方にもなっている」(同社)と説明。
同ページではリカちゃんのプロフィールやこれまでの実績なども紹介して、読み物コンテンツとしてファンを集客。商品詳細から通販の購入ページに飛ぶ導線も設けて、購買機会の拡大へとつなげている。リカビジューシリーズについては予約を開始した4月末から5月上旬までの間で、通販サイトにおいて通常のリカちゃん商品の販売数と比較して約10倍の反響があるなど、ネットでの盛り上がりが奏功した。

【事例② ジュピターショップチャンネル】、【事例③ 東穀】、【事例④ ヤマサキ】は本誌にて→購入はこちら

NO IMAGE

国内唯一の月刊専門誌 月刊ネット販売

「月刊ネット販売」は、インターネットを介した通信販売、いわゆる「ネット販売」を行うすべての事業者に向けた「インターネット時代のダイレクトマーケター」に贈る国内唯一の月刊専門誌です。ネット販売業界・市場の健全発展推進を編集ポリシーとし、ネット販売市場の最新ニュース、ネット販売実施企業の最新動向、キーマンへのインタビュー、ネット販売ビジネスの成功事例などを詳しくお伝え致します。

CTR IMG