Mon, December 11, 2017

楽天と幻冬舎がファッションウェブ雑誌創刊  タッチで「楽天市場」に移動、紙と同品質に

(左から)楽天の河野奈保執行役員、モデルの伊藤ニーナさん、幻冬舎の片山裕美事業部長

楽天は4月14日、幻冬舎と共同で、スマートフォン向けの無料ウェブ雑誌を創刊した。幻冬舎の雑誌「GINGER(ジンジャー)」のウェブ版という位置づけで、20代後半から30代女性を対象に、仮想モール「楽天市場」のファッションアイテムを掲載。商品をタッチすると楽天市場の商品ページに移動する仕組み。楽天では今回のウェブ雑誌の反響を見ながら、出版社とのコラボ事業を進めたい考えだ。一方、若者を中心に「紙離れ」が進み雑誌の部数減に苦しむ出版社だが、ネット販売に直結するという収益につながりやすい仕組みのウェブ雑誌は魅力的といえそう。これまでにないコンセプトのウェブ雑誌だけに、どこまで売り上げを伸ばせるかが注目される。

商品を掲載する店舗は紹介料必要

「GINGER mirror」の表紙

雑誌の名称は「GINGER mirror(ジンジャーミラー)」。ページ数は100で、楽天市場の出店店舗が販売するオリジナル商品を中心に、約400商品を掲載している。紙媒体と同様に特集を組み、モデルやライター、デザイナーなどスタッフも紙媒体と共通しているのが特徴。楽天市場のスマホ版トップページや雑誌「GINGER」で新媒体の発行をアピールする。

スマホ経由購入の商品単価はパソコン経由よりも500円から1000円程度安いことから、商品価格は1万円を切るものを中心にセレクトした。雑誌の公開期間は1カ月で、次号は6月末の発行を予定。定期刊行となる見込みだが、季刊か隔月かなど発行間隔についてはまだ決まっていないという。閲覧数や売り上げなどの目標は非公表。

掲載する商品は、楽天が推薦したアイテムから選ぶ場合のほか、幻冬舎が雑誌の企画に合致した商品をモール内で探して掲載する場合もある。商品が載った店舗からは、基本的には紹介料を徴収する仕組み。コーディネートを完成させるために雑誌側からの依頼で掲載した場合などは紹介料が発生しないようだ。なお、売り上げから幻冬舎への配分などのビジネスモデルは非公表となっている。「今回はテストなので、今後ページ数や商品数を拡大する中で改めて検討していく」(楽天の河野奈保執行役員)。

コーデで「まとめ買い」期待

ポップアップが開き「楽天市場」商品ページに移動 できる

「CHECK !」をタッチすると……

雑誌はウェブブラウザーから閲覧する形式で、スワイプすることでページがめくれる。ページ内では「商品詳細ボタン」を押すとポップアップが開き、モデルが着用しているアイテムすべての詳細を確認することができる。さらに「詳しくはこちらへ」をタップすると、楽天市場の商品ページに遷移、商品が購入できる。

店舗側はウェブ雑誌からの導線が最大のメリット。雑誌ではプロのカメラマンやライターが商品を紹介するほか、雑誌内では別の店のアイテムとのコーディネート提案を行うため、まとめ買いが期待できる。

両社では、楽天市場と雑誌「GINGER」との共同開発商品を楽天市場内で2010年から販売しており、好調に推移。「『GINGER』のブランド力や商品のクオリティーもあり、リピート率や購買への転換率が非常に高い」(河野執行役員)という。

また、楽天市場ではモバイル流通が拡大しており、2014年12月期における楽天市場全体のモバイル流通は44%となった。特にファッションジャンルのスマホ利用者のうち、70%が女性で、特 に20~30代 が 多 い こ と か ら、「GINGER mirror」の創刊を決めたという。

今回のウェブ雑誌は、スマホアプリではなくウェブブラウザー経由で閲覧する形式を採用したのが特徴。これについて河野執行役員は「ダウンロードすることなく、ウェブを閲覧するように雑誌を読むことができて、そのまま買い物ができるというスタイルをあえて採った」と話す。

楽天は出版社とのコラボ拡大へ

幻冬舎の片山裕美女性誌事業部部長は「『時短』と『コストパフォーンス』にこだわる読者が増えている。雑誌の商品セレクト力や提案力と楽天市場の利便性を合わせることで、紙媒体よりも読者に近い新しいメディアができると考えた」とウェブ雑誌創刊の背景を説明。「ファッションをテーマにしたウェブ雑誌は多いが、ここまで紙媒体の世界観をスマホから見られるようにしたものは初ではないか」とした。

また、片山事業部長は「『GINGER』を創刊してから6年になるが、楽天市場とのコラボ商品は毎号反響が大きくなっている。『ショップを回る時間がない』という忙しい読者も多く、読者の間でもスマホECはもうすぐ爆発的に伸びるのではないか。まだ紙に依存しているアラサー女性も、そろそろ雑誌購読をスマホに移行する時期だと思う」などと新媒体への期待を語った。

現段階では雑誌「GINGER」とは企画や掲載商品は異なるが、今後は共通の商品を掲載する計画もあるほか、「GINGER mirror」の紙媒体発行も視野に入れる。

また、楽天では「雑誌は(記事や商品セレクトなどの)クオリティーが高く、企画力もある。一方で物を売ることについては楽天がすぐれており、異業種が組むことで新しいビジネスモデルができるのでは」(河野執行役員)とコメント。今後は反響を見ながら出版社との取り組みを拡大する方針だ。

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