「楽天ラクマ」、コメ兵との鑑定サービスを本格提供――ラグジュアリーの流通活性化へ

検品対象商品の流通額向上

　同サービスは、ラクマでユーザーが購入した商品をシームレスに検品できる環境の構築を目指して試験的に提供するもので、23年9月下旬より試験提供を行っていた。ラクマで商品を購入したユーザーが、商品に不安を感じた場合などに取引画面から申請し、指定された住所に商品を発送、コメ兵が検品をするというもの。

　商品は愛知県にあるコメ兵の拠点で検品。宝石、時計、ブランドバッグ、ファッションの専門鑑定士がラクマ鑑定サービス専属で検品を行う。また、一部のブランドのブランドバッグと革小物はAIによる鑑定も行っており、持ち込み数の多いブランドから順次対応している。

　対象カテゴリーはブランドバッグ、衣料、時計、ブランドジュエリーなど400ブランド、20カテゴリーとなる。商品ページを開いた際、鑑定対象バッジが出ている商品が鑑定対象商品だ。試験提供では、サービス対象の商品に対して、検品対象であることを表示したユーザーと、表示しないユーザーを比較したところ、顧客転換率・平均単価はともに前者の方が高かった。

　また、サービスを利用したユーザーからは「不安が払しょくされた」「信頼性が高い」といったポジティブな評価があったほか、同サービスを知らなかった約90%のユーザーが「鑑定サービスがあることを知っていたとしたら、よりラクマで購入したい」と回答したという。楽天のラクマ事業部プロダクト・サービス企画課ヴァイスシニアマネージャーの樋口量祐氏は「昨年12月は検品対象となる商品の流通額が大きく向上した」と手応えを語る。

　本格提供を期に、サービス自体の認知拡大を図る。鑑定対象商品の購入者・出品者に対し、鑑定が完了すると300ポイントをプレゼントするキャンペーンを2月7日~3月6日まで開催するほか、コメ兵本社がある愛知県を走る名古屋鉄道全線に、1月29日~2月4日の期間中吊り広告を掲示した。また、現在は鑑定対象バッジをポップアップとして表示しているが、本格提供以降は商品ページに埋め込む形式に変更、よりバッジが目に入りやすいユーザーインターフェースとする。

　ユーザーが鑑定を依頼する際の料金は無料で、送料のみ必要。コメ兵では今回の試験提供をきっかけに、検品サービスを新たなビジネスモデルとして構築していきたい狙いがある。コメ兵営業本部KOMEHYOカンテイ事業Gシニアマネージャーの松波之浩氏は「マネタイズについては可能性を探っている段階。ラクマでの展開を踏まえて社内で議論していきたい」とする。また、同社では23年11月、メルカリが運営するECプラットフォーム「メルカリShops」に出店。メルカリとの同様の連携については「現時点では考えていない」(松波シニアマネージャー)としている。

専属鑑定士が鑑定

　　同サービスの本格提供開始前となる1月26日には、楽天の招待で、愛知県内にあるコメ兵の商品センターにおいてメディアの見学ツアーが開催された。

　商品センターでは、正規品と偽造品(買い取り基準外)のブランド品(ルイ・ヴィトンやシャネル、グッチ)を並べ、実際に鑑定士が鑑定を行った。例えば、ルイ・ヴィトンのバッグは、金具の色や、革の匂い・手触りなどを比較、正規品は右側という。左側のバッグの場合は、金具の色が正規品よりもやや薄い。さらには革の匂いも合成皮革の匂いが残っているため、鑑定士は買い取り基準外と判断した。

　その他にも、タグや付属のシール、縫製なども見ながら正規品かどうかを判断する。ただ、近年は非常に精巧な作りの偽造品が増えている。「鑑定士は本当に誤差ともいえない程度の誤差を見抜かなければいけないので、経験を積まないと気づけないことも多く、鑑定士のレベルが出やすい。それを解決するために、AIによる機械の判定により精度を高めている」(コメ兵の松波之浩氏)。

AIも使い精度向上