「フリマアプリの利用者は新品の商品の購入も増える」─。フリマアプリ「メルカリ」を展開するメルカリは2月13日、「フリマアプリ利用による新品商品への消費喚起効果」の実態調査を発表した。それによると、フリマアプリ利用による、新品商品の消費喚起効果は年間でおよそ484億円にのぼり、不用品を出品して売却した資金をもとに新品商品の購入に充てているという実態があるようだ。
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フリマで回収・節約し新品購入へ
2019年5月に経済産業省がまとめた調査では、2018年のフリマアプリ推定市場規模は6392億円で前年比32.3%増加したという。調査開始以来3年連続で成長している。
アパレル市場は減少傾向にある中でフリマアプリの登場で二次流通の拡大で新品の購入を代替しているという声も出ているようだ。その一方で、売却を前提に購入行動をしているフリマアプリ利用者が存在しており、一次流通市場での購入意欲を刺激している可能性もあるようだ。
そうした背景からメルカリではフリマアプリ利用が新品商品の消費を喚起しうるのか、その実態を明らかにすべく、まずはフリマアプリでの取引件数が多い「ファッション」「スポーツ・レジャー」「理髪料・コスメ」「家電・スマホ」50ネット販売VOL.21No.3「エンタメグッズ」「おもちゃ・ホビー」の6カテゴリーを対象にフリマアプリ利用者・非利用者を含む15~69歳の男女2万人を対象に「フリマアプリ利用による新品商品への消費喚起効果」の調査を国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏とともに2019年12月から2020年1月まで実施した。
フリマアプリ利用者の新品購入金額の変化を推計すると、フリマアプリで「出品」を経験している場合、6カテゴリーすべてにおいて、新品購入金額が増加する効果が見られた。一方で、フリマアプリで「購入」を経験している場合、「理髪料・コスメなど」「家電・スマホなど」「おもちゃ・ホビーなど」の3カテゴリーでは、フリマアプリでの「購入」経験によって新品購入金額が減少する効果が見られた(表1)。この結果から、1年間分の新品商品の消費喚起効果を推計すると、年間約484億円となるという(表2)。次に調査対象の2万人の中から直近3カ月以内にフリマアプリを利用した経験のある1500人に対象を絞り、意識調査を実施。フリマアプリを利用することで新品購入額が増減したかと聞いたところ、6カテゴリ中5カテゴリで「新品購入金額が増えた」と感じている人が多かった(表3)。フリマアプリで出品経験があり「新品購入金額が増加した」と回答した430人を対象に増えた理由を尋ねると、最も多かった回答が「売ってお金を得られるので、購入頻度が増えたから」が44.0%で、次いで「売れば、もし自分に合わなくても捨てなくてすむから」が39.3%、「売ってお金を得られるので、高いものを買うようになったから」が38.8%などとなった(表4)。また、フリマアプリで購入経験があり、「新品購入金額が増加した」と回答した795人を対象に増えた理由を尋ねたところ、「フリマアプリで節約することにより、新品購入頻度がむしろ増えたから」が44.5%と最も多く、次いで「フリマアプリで節約することにより、新品で高いものを買うようになったから」が34.7%、「フリマアプリで検索して新しい商品に出会い、それを新品で買うことがあるから」が30.8%、「フリマアプリで試して、その後新品で買うようになることがあるから」が30.1%などとなり、「フリマアプリで試すことにより、新製品購入ハードルが下がる」という傾向があることが分かったという(表5)。さらに、フリマアプリ利用者に「検索や試用をすることでその商品・ブランドを、新品で購入した経験があるか」と尋ねたところ、6カテゴリすべてで「検索」をすると60%以上、「試用」すると70%以上が新品購入金額が増えるという結果になった(表6)。フリマアプリで出品されやすいかを考えた商品開発が必要
今回の調査に協力した山口講師は「(調査で)フリマアプリの利用によって年間500億円弱もの消費喚起効果があると結論付けられました。これからのビジネスにおいては、フリマアプリのような中古市場との連携を意識して上手く活用することが、逆にチャンスになることを結果は示しています。つまり、フリマアプリで出品されやすいかどうか、検索されやすいかどうか、受けやすいかどうかなどを考慮して商品を開発することが、結果的に新品の売り上げを伸ばすことに繋がるといえます」と分析している。