「専業事業者としてナンバーワンを目指す」─。OniGOは8月25日、ネットスーパー専用店舗を構えて即配を行う“ダークストア”型ネットスーパーを開始した。商圏を限定することで、注文完了後から10分で配達を完了する仕組み。従来の食品宅配に対する「1週間分のまとめ買いが難しい」
「ネットスーパーの配達枠は3時間ごとでいつ届くかわからず使いにくい」などのユーザーの不満に対応する。まずは1日あたり100件の受注獲得を目指す。食品の即配サービスは、現状はまだ小さいものの、将来的には2兆円の市場規模になるといわれている。システム開発力や資金調達力を強みに、事業を拡大していく。
購入金額3000~4000円目指す
開始したのは「OniGO」。iOSとアンドロイド向けアプリで展開する。ネットスーパー専用店舗を中心に半径1~2kmを商圏として、自社の配送員が宅配する。
品揃えは生鮮品や日配品、グロサリーのほか、菓子や冷凍食品、洗剤などを含む日用品で、1000SKUを取り扱う。酒類や薬類についても、免許を取得次第取り扱う予定。このほか、地域の専門店やD2Cで展開する商品の取り扱いもすすめる。価格はスーパーなどの実店舗とほぼ同等とした。1回あたりの購入金額は3000~4000円を見込む。
受注後、専用店舗のスタッフ「ピッカー」が店内の在庫からピッキングし梱包する。配達員「ライダー」が顧客の自宅まで商品を届ける。注文から配達までを10分で行う。宅配料金は1回300円とした。
収益は売上に対する粗利益から確保し、配送網を構築する。今後、関西などの他のエリアに向けてシステム提供を行うことも視野に入れ、収益化を目指していく。
第1号店舗は東京都目黒区の東急電鉄の学芸大学駅付近に構えた。半径1キロメートルを商圏とし、営業時間は午前10時~午後10時で、原則毎日営業する。今後は関東1都3県を中心にサービスを展開し、1年間で100店舗まで出店する計画。店舗は100~300平方メートルの規模で展開し、商圏に応じて変える考え。
強みは開発力と調達力
「ネットスーパーは難易度が高いビジネス。ミスのないオペレーションが重要になる」─。8月25日に開催した記者発表会で、梅下直也社長はこう話す。ダークストア型ネットスーパーは欧米が先行し、日本では新しいビジネスモデルだ。小売の知見やシステム開発力、資金調達力などを強みに、専業事業者として市場で存在感を示していく。
システムは自社開発した。顧客向けアプリはカテゴリー別に商品を選び、決済するといったシンプルなものとした。また、ピッカー向けアプリと配達員のアプリ、在庫管理システムをそれぞれ連携する。受注データはピッカーが持つスマートフォンに送信され、バーコードリーダーを使って商品のJANコードを読み込みながらピッキングする仕組みとなる。
ピッカーが梱包した商品をライダーに渡すと、顧客向けのアプリのチャット機能の画面に配送するライダー名と出発したことを知らせる仕組み。チャット機能は、欠品の連絡など顧客とのコミュニケーションに活用する。
OniGOは今年6月に設立。事業スタート前から、英国の即配サービスを手掛けるJiffyと資本業務提携を結ぶ。海外イーコマース領域の起業家や、米国や欧州のベンチャーキャピタルなどから3億円の資金調達も行った。当初予定していた金額を大幅に上回り、5億円のオファーを獲得したものの断ったという。「システム構築からサービス開始まで2.5億円でよかった。今後実績を見せたうえで、改めて資金調達を行いたい」という。