消費者庁、ステマ規制で指導2件――告示施行も行政処分なし

 2023年度の景品表示法に基づく「措置命令」は、44件だった。前年度は41件。「No.1表示」に対する処分が13件を占めた。また、23年末まで、措置命令件数は15件と、例年に比べ執行ペースは大幅に遅れていたが、今年1~3月の命令件数は29件。同時処分により、措置命令件数は、前年度を越えた。

 23年10月に告示が施行されたステルスマーケテイングの処分はなかったが、2件を指導。今年度は、今年6月にステマ規制で初処分を行った。指導内容は、「公表していない」(表示対策課)としている。

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調査件数は減少、職権探知が約2倍

 調査件数は、17年度の約650件をピークに年々減少傾向にあり、23年度は229件(前年からの繰越しを含む)。22年度から50件減少したが、処分数は前年並み。「優良誤認」事案40件のうち、不実証広告規制は、72%(29件)に適用されている。前年も76%で、同規制の適用が、執行を担保している。

 内訳は、行政職員による「職権探知」が82件(前年は48件)で約2倍に高まった。外部からの「情報提供」は、約1万8000件(同約1万4000件)と増加したが、調査数は71件(同137件)と、22年度の約2分の1。専門知識を持つ職員による調査事案が増えている。「自主報告」は2件(同4件)。

課徴金の総額は約20億円

 処理件数は、195件(同200件)で前年並み。処分数は横ばいだが、「打切り」等は約2倍の47件(同25件)に増えた。指導数は、85件(同112件)と減少傾向にある。

 課徴金命令は、11社に対する12件(15社に対する17件)。総額約20億円で、増加傾向にある。メルセデス・ベンツ日本に対する課徴金が約12億円で過去最高を更新した。

 措置命令のうち、「優良誤認」は40件(同38件)、「有利誤認」は5件(同3件)。関係法令が2つ以上の事件もあるため、命令件数の総数と一致しない。指導は、「優良誤認」が60件だった。

「No.1表示」や同時処分増加

 商品・役務別(命令、指導を含む)では、「食品」の20件(同31件)に続き、「住居品」19件(同23件)、「保健・福祉サービス」17件(同1件)、「保健衛生品」13件(同14件)。炊飯器の糖質カット性能に対する表示(8件)、太陽光発電システム機器や蓄電池に関するNo.1表示(5件)、空間除菌用品の表示(4件)など同時処分や「No.1表示」に対する処分が増えた。機能性表示食品関連は3件。血圧関連が1件、痩身効果が2件(うち1件は「No.1表示)だった。健康食品は、ペット用サプリメントに関する「No.1表示」が1件あった。

表示の管理上の措置(第26条)は、「指導・助言(非公表)」は45件(同60件)で21年の100件から減少傾向にある。表示管理担当者の配置、根拠の未確認などがあった。「勧告(公表)」は0件。22年には、アフィリエイト広告など、外部委託を含め管理責任が強化された。

行政処分取消訴訟は、3件

 23年度の行政処分取消訴訟の提起は3件。措置命令では、大正製薬(22年9月提訴、控訴審が継続中)、東亜産業(22年7月提訴、同)、課徴金命令では、だいにち堂(22年12月提訴、同)。いずれも一審判決は、請求が棄却された。ユニクエストの課徴金命令取消訴訟も21年の提訴から継続している。

 都道府県による措置命令は3件。東京都が2件、埼玉県が1件だった。23年5月に成立した改正景表法は、確約手続きの導入、繰返し違反に対する課徴金加算、直罰規定の導入など大幅な改正が行われる。改正景表法は、今年10月の施行を予定。確約手続きの運用基準は、今年4月に公表している。

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