楽天グループ運営する仮想モール「楽天市場」では7月1日より、配送品質が高い商品を同モール内で優遇する制度として、基準を満たした商品にラベルを付与する仕組み「最強配送」を導入した。
対応商品は徐々に優遇される?
同制度の基準には「店舗基準」と「商品基準」がある。店舗基準は「納期順守率96%以上」「6日以内お届け件数比率80%以上」「出荷件数が月に100件以上」「共通の送料込みラインの導入」の4つ。これに準ずることを前提として、商品基準を満たしている商品にラベルが付与される。商品基準は「365日出荷可能」「午前の注文は翌日届け可、午後の注文は翌々日届け可」「日付指定可能」となる。
商品基準を満たした場合、ラベルは翌日~翌々日配送が可能な地域のユーザーに表示する。例えば出荷元が関東地方にあり、翌日~翌々日配送が本州・四国に可能な場合は、この地域のユーザーにのみラベルは表示され、北海道と九州・沖縄のユーザーには表示されない。
配送予定の欄に「あす楽」と表示されている商品は、締め切り時間までに注文すれば翌日の配送が可能。ただ、これまではあす楽対応商品は、自動で翌日配送に設定されていたが、注文時にユーザーが翌日の日付指定を行わなければいけない。また、最強配送ラベルが表示された商品のみの注文で、日付指定したにもかかわらず、指定日に届かなかった注文は、「楽天あんしんショッピング」における遅延補償(5%ポイントバック)の申請対象となる。
出店店舗にとって大きいのは、ラベルの貼付がモール内検索における順位決定の要素に含まれる点だ。これは、LINEヤフーの「ヤフーショッピング」において「優良配送」(「お届け希望日」を、受注日プラス2日以内としている商品かつ当該出店者の出荷遅延率が一定水準未満である場合のみ出店者が設定できる表示)に対応した商品の検索を露骨に優遇したことが、流通が落ち込んでいる原因の一つと見る向きが多く、楽天が同じ轍を踏むことを心配しているためだ。その一方で、制度に対応した店舗にとっては、ラベル取得のメリットを求めたくなるのは当然。そのため、バランスをどう取るかが重要になってくる。
多数のEC企業をクライアントとして抱える、あるコンサルタントは「検索順位をチェックしているが、今のところラベルのある商品の順位は6月30日までと大きく変わっていない」と話す。ただ、同社では昨年11月、本紙取材に対し「制度を導入したことで流通が減っては意味がないので、激しい優遇はせず、恐らく徐々に変わっていくのではないか」(コマースカンパニーマーケットプレイス事業楽天市場企画部の海老名雅貴ヴァイスジェネラルマネージャー)としており、ラベルの効果はすぐに発揮される性質のものではないようだ。
目立つ未対応店舗
基準を満たす上でネックになるのは土日出荷。「土日は休業日なので受注や出荷対応ができない」というEC企業は少なくないからだ。先のクライアントによれば、最強配送に対応した店舗の場合、土日出荷可能な倉庫に商品を預けたり、楽天が出店者の物流業務を請け負う「楽天スーパーロジスティクス」に一部商品を委託したりといった対応策を講じたという。