インタセクト・コミュニケーションズ 京都信金と越境EC

 越境EC支援事業を手掛けるインタセクト・コミュニケーションズでは、金融機関や地方自治体などと組んで事業を展開している。

 昨年5月からは、京都中央信用金庫(京都信金)が取引先企業への支援事業として、中国向け越境ECを行っている。中国のコミュニケーションサービスである「WeChat」のミニプログラム機能(アプリ内に構築するミニアプリ)を使い、中国の消費者が購入できる仮想モールを構築。モール構築やプロモーション等のコストは京都信金が負担する仕組みだ。

 長引くコロナ禍により、インバウンド需要が見込めなくなった京都においては、観光に関連した小売り、製造業において深刻な影響が出ている。こうした中で京都信金は、京都で人気のある商品やまだ知られていない商品を販売するための越境ECを、インタセクト社と組んで開始。コロナ禍収束後の旅行先として選ばれるためとなる情報発信も合わせて行っており、中国版インフルエンサーである「KOL」を起用したプロモーションを積極的に実施。企業や店頭を訪問し、商品紹介をするライブ配信や動画撮影も行っている。

 販売する商品は、京都信金の取引企業から募集。販売と輸出者に関わる責任はインタセクトが負う。商品は、東京都大田区の指定倉庫を利用し、航空便で中国へ輸送。通関後に中国の消費者へと配送する。出品企業は納品するだけで、輸出に必要な申請はインタセクト社が行う。また、消費者対応は中国の現地グループが請け負う。

 昨年5月31日のオープンより、今年3月末時点で、のべ8000点以上の商品を販売した。出品社数は130社を超えており、取扱商品数は約900SKU。京都を代表する製茶メーカーや料亭、伝統工芸品、化粧品を扱う企業などが出品している。

 お茶関連商品では、伊藤久右衛門の茶葉セット・茶そば・酒・菓子、祇園辻利の菓子・お茶漬け・化粧品、宇治の露製茶の菓子・ティーバッグ、酒関連では城陽酒造の日本酒・梅酒などが売れている。また、東洋ケースの富士山をモチーフとしたコーヒーフィルター、調理器具といった雑貨関連や、仁秀の清水焼といった伝統工芸品も売れ筋だ。茶葉に関しては、BtoBの一般貿易では扱えないが、今回の取り組みで越境ECで販売できることが分かり、日本茶の茶葉やティーバッグなども販売している。

 同社が53社を対象とした顧客満足度アンケートによると、販売に関して「大変満足している」(20・8%)「満足している」(35・8%)が半数を超えた。「満足していない」(17・0%)と答えた企業に理由を聞いたところ、「もっと販売数を増やしたい」と回答したという。

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