通販サイトで商品の訴求効果を高める手法の1つとして、3次元の立体として作られたモデルデータ、いわゆる3Dモデルの活用が広がっている。
課題は高額な生成費用だが、ICTソリューション事業を手掛けるテックファームが10月25日から提供を開始した3Dモデル生成サービスでは、商品100点150万円から提供している。
取締役の遠藤徳之氏は、「当サービスのターゲットは、大量の商品写真を3Dモデル化したい通販サイト事業者様になるため、商品の特徴がしっかりと伝わる程度の品質を保持しつつ、低コスト化を図った」とし、1年以上をかけて被写体に応じた撮影の手法やノウハウの最適解を蓄積。撮影スキルを高めてスムーズに3D化することで、再撮影やデータ修正などに要する人件費を抑えたという。
サービスの流れは、3Dモデル化したい商品を事業者から自社に送付してもらい、複数枚の写真を合成する「フォトグラメトリ」技術を使用してデータ化する。
完成した3Dモデルを通販サイト上で展開すると、商品を360度、細部まで見ることができ、顧客のEC体験向上や購入促進などが期待できるという。また、仮想空間上の展示会で活用する他、XRデバイスを使った遠隔地での製品確認など、幅広い用途での使用が可能となる。
生成費用は商品100点の場合、150万円(税別)から提供する。商品点数や納期、サイトでの活用方法などを含めて企業ごとにサービスをカスタマイズしていく方針。
なお、実証実験として導入した通販サイトで衣料品などの商品を3D化したところ、従来に比べて返品率が下がるなどの効果を得たという。
開発本部2本部長の渡辺夏樹氏は「展示会での引き合いも多く、需要の高さを実感している。3Dモデルがもたらす事業へのインパクトなどを検証し、より良いサービスにつなげていく」としている。
なお、同社では3Dモデルを利用する事業者が、ウェブ上の管理サイトでデータの共有や編集、管理を一括で行うことができるプラットフォームサービスも提供しており、「合わせて活用していただくことで生成から活用まで一貫して支援することが可能になる」(同社)と訴求している。
同社は1998年創業。NTTドコモ「iモード」立ち上げ時のシステム開発に参画するなど豊富な実績を有し、今後も3Dコマースなど新サービスを支援するためのソリューションの提供を拡大していくとしている。