大丸松坂屋百貨店は12月3日~18日、メタバース事業を手がけるHIKKYが開催するVRイベント「バーチャルマーケット2022ウィンター」に仮想店舗「バーチャル大丸・松坂屋」を出展している。5回目の出展となる今回は、企業出展会場であるパラリアルパリの街で年末年始の食卓を彩るグルメに加え、初のアート作品や寝具を販売する。
メタバース空間ではユーザーが自由に店内をまわり、食品3Dモデルを手に取って商品の形状を確認したり、バーチャルカタログで詳細を見たりできるのに加え、各商品の「BUY」ボタンをクリックすると自社通販サイト「大丸松坂屋オンラインストア」の商品詳細ページに遷移して当該商品を購入することができる。
1階の食品フロアでは、年末年始に食べたいごちそうグルメ約2900点を販売するが、3Dモデルとして「名古屋コーチン味噌鍋セット」や「海老天鍋焼きうどん」「博多ああおうのティラミス」などを展開(画像)。仮想空間に慣れた”メタバース民”がV飲み(バーチャル飲み会)を行う際などに使ってもらう。
また、3Dモデルでは、例えばワインラベルの文字も読めるようにしており、今後のカタログ発行部数の削減などにつながる可能性もあるという。
2階のアートエリアでは、アーティスト野原邦彦氏の作品4点を展示。体験ボタンを押すとユーザーの身体が浮かび上がり、アート作品の世界に360度包み込まれながら、ゆっくり空間を上昇するなど、メタバースならではの演出で楽しむことができる。
3階の寝具エリアでは、大丸東京店で展開するショールーミングストア「明日見世」で取り扱った寝具ブランド「ブレインスリープ」の商品を紹介する。同社によると、メタバース民が装着するヘッドセットは重たく、首などに負担がかかることから、枕やマットレス、サプリメントなどを提案する。
「バーチャル大丸・松坂屋」の店頭には商品知識が豊富な同社の本社ギフト企画運営担当の田中直毅氏がアバター姿でユーザーを出迎えるほか、メタバース接客の経験があるアルバイトを15人採用し、商品の魅力を伝える。
同社は過去4回のVRイベントを通じ、百貨店の主要顧客層とは異なる20~30代の男性を中心としたユーザーとの接点づくりに成功しているという。一方で、「EC送客による実売だけを求めない」(田中氏)としており、「バーチャル大丸・松坂屋」への訪問者数や3Dモデルへのタッチ数もKPIとして重視するという。