楽天、父の日ギフトのショールーミングストア開設――期間限定で、常設店の設置も視野

 楽天グループは6月1~14日、丸井が運営する「マルイファミリー溝口」(川崎市高津区)の2階に、仮想モール「楽天市場」の店舗が扱う父の日ギフトを体験できるショールーミング型のポップアップストアを開設した。

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商品カード活用し販促を工夫

 「よなよなの里」(運営はヤッホーブルーイング)の「クラフトビール5種飲み比べギフト」や、「うなぎ屋かわすい」(運営は川口水産)の「国産うなぎ蒲焼き3種セット」など、楽天市場の人気店舗21店舗の父の日向けギフトを展示。食品や酒類といった定番商品だけではなく、枕や脱毛器セットも展示した。全商品の試食や試飲、体験が可能となっている。なおショールーミング型ストアのため、販売は楽天市場のみとなっており、ポップアップストアで買うことはできない。

商品カードを設置し帰宅後の購入を促す

 楽天と丸井では、2022年12月に「新宿マルイ本館」(東京都新宿区)に、23年2月には「北千住マルイ」(東京都足立区)にそれぞれショールーミング型のポップアップストアを設けており、今回が3回目の開設となる。6月4日からスタートした、楽天市場の大型セール「楽天スーパーセール」と期間をあわせた。

 楽天のコマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業ECコンサルティング部OMO企画室ViceOfficeManagerの草壁匠氏は「楽天市場と親和性が高く、ファミリー層が多く訪れる街にある店舗での開催を丸井側に要望し、いくつか候補が挙がった中から、マルイファミリー溝口を選んだ」と話す。同店の2階は東急田園都市線・大井町線「溝の口駅」と南武線「武蔵溝ノ口駅」からスロープで直結しており、ポップアップストアは入り口からすぐという好立地となっている。

 ポップアップストアでは、商品一覧や買い物の仕方を明記したチラシを配布。さらには、QRコードを付けた商品カードも商品ごとに設置した。その場では商品を購入しない消費者が多いことから、自宅に帰ってからでも商品を選びやすい工夫をした。昨年開設した、韓国コスメの020店「カルチャーマーケットサポーテッド・バイ・楽天」でも、同様にQRコードを載せた商品カードを配布しており、取り組み開始後は楽天市場への送客数が3倍に伸びたという。「商品カードがリマインダーの役割をはたしているようだ」(草壁氏)。

店舗や商業施設からの要望も

 また商品カードには、ポップアップストアの商品を3000円以上の購入で600円割引(先着利用500回限定)となるクーポンが取得できるQRコードも記載している。草壁氏は「クーポンを獲得する際は楽天IDへのログインが必要となるので、当該ユーザーがどんなシーズナル商品を買ったかが分かる。シーズナル商品という観点から、新規顧客がどれくらい取れたかという観点からも分析していきたい」と話す。

 関東地方に在住する楽天市場ユーザーには、「父の日特集」のページに「ポップアップストア開催中」というバナーを表示している。また、丸井が店舗周辺地域に5万部配布しているチラシでも、ポップアップストアを宣伝した。両社では、北千住で開催したポップアップストア並みの来店数を見込んでいる。今年は秋と歳暮商戦の時期に合わせて、さらに2回ポップアップストアを首都圏に開設する予定。来年以降は関西や政令指定都市での開設も検討する。

 長く楽天市場に出店している一部の人気店舗からは「楽天市場で多数の新規顧客を獲得するのが難しくなってきているので、オフラインでのタッチポイントを増やし、自分たちのブランドを知ってもらうことにフォーカスしていきたい」といった声が出ているという。草壁氏は「ポップアップストアはリピーターが獲得できないのが欠点。いずれは楽天市場の出店店舗が利用できる常設店を設けたい。商業施設からも『常設店はやらないのか』という要望があるので、ビジネススキームが確立できるならぜひ出店したい」と意欲を語る。

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