LINE、今秋に仮想モールを開始 ――BtoCとBtoBの双方に対応

カンファレンスで舛田執行役員が「ラインモール」の開始を発表した

スマートフォン向け無料通話・メールアプリ「LINE(ライン)」が仮想モールの運営に乗り出す。今秋をメドに国内の4700人以上のユーザーに対してサービスを提供する予定で、法人が一般ユーザーに向けてネット販売するBtoCモデルだけでなく、ユーザー間で商品を売買できるCtoCにも対応する。これまでは“場が荒れる”ことを嫌って「シークレットセール」以外はネット販売には対応していなかったが、今回新たにコマースの場を提供していくことになる。楽天やアマゾン、ヤフー、加えて最近ではリクルートまでもが参入して一層競争が厳しくなる仮想モール事業に打って出るLINEの勝算は果たして──。

出店は無料で販売額の10%を徴収
8月21日。千葉県浦安市で開催されたLINEのカンファレンスの終盤、仮想モール展開が発表された。その名も「LINEMALL(ラインモール)」。壇上に立ったLINE執行役員の舛田淳氏は「LINEのコミュニケーションを生かすような新しいコマースサービスを展開していく」と宣言した。
具体的な詳細は不明だが、「誰もが売り手と買い手になれる。すぐ出品できる」(舛田氏)というように、「ラインモール」は企業がLINEユーザーに商品を販売するBtoCだけでなく、ユーザー間で売買できるフリーマーケットのようなCtoCにも対応していく。関係者への取材によると、「ラインモール」は基本的には出店料や月額費などはすべて無料で、販売額の10%をLINE側に手数料として支払う仕組み。LINE内で決済までは完了するが、発送など物流面は各社で対応するスキームとなるようだ。
計画ではモール内で独自ポイントを付与する。ただ、ポイントは当面「ラインモール」の買い物だけに利用できることになりそうで、出店を検討している企業からは「ポイントでスタンプ(絵文字の一種)やゲームの購入ができればユーザーの利用も進むのだが」といった意見も出ている。また、一部報道では、新品と中古品の販売ができて、購買履歴に基づいたレコメンド機能なども搭載するという。
LINEは海外にも多くのユーザーを抱えているため、海外マーケットを視野に入れた仮想モール展開も気になるところだが、LINEの森川亮社長は「まずは国内で」と現状はモールでの海外展開は検討していない。

コマースで強みが損なわれる?
以前から噂は出ていたLINEの通販展開がいよいよ本格始動するわけだが、先行きは決して楽観視できるものではない。
LINEとしては4700万人超という膨大なユーザーを抱えている以上、少しでもマネタイズしていく狙いとみられるが、これまでコミュニケーションツールとして使っていたユーザーの行動をうまく購買につなげることができるかは未知数と言える。大手仮想モールの担当者は「LINEユーザーからするとすごく“ウザく”なるのでは」と指摘する。つまりコマース機能を搭載することで、従来からのコミュニケーションの“場が荒れる”のではないかというわけだ。結果的に本来の強みであるコミュニケーションツールとしての利便性やシンプルさが損なわれる心配もある。
それでもカンファレンスの最後に舛田氏は「LINEでコマースをやるということ自体、一年前からどういう形であるべきかを悩んでいた。ようやく我々として満足がいく答えができた」とモール展開に自信を見せた。スマホアプリで快進撃を続けるLINEが乗り出したEC戦略の成否に注目が集まっている。

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