全日空商事では、ANAグループが初の仮想モールとして1月末に開設した「ANA Mall」(画像)にスタート時から出店者として参画している。ECでの販売チャネルが広がっていく中で、まだ接点を持てていなかったマイルユーザーへの認知拡大を図る場所としてシナジー効果を期待している。
同モールについてはANAグループのANA Xが運営しており、ANAマイレージクラブ会員3800万人をメインターゲットに、マイルが使えて貯めることができる特徴を前面に押し出して展開。全日空商事以外にも、機内食を提供しているANAケータリングサービス(同大田区)などが出店しており、ANAグループ各社のECの露出先として活用されるプラットフォームとなっている。
全日空商事のEC事業に関しては、長年自社通販サイトとして運営している「A‐style」があり、今回の同モールへの出店はウェブでの販路拡大を図る一つの手段になると見ている。「モールはまだ始まったばかりで、これからテナントも増えていくと聞いており、徐々に(顧客への認知が)浸透していくのではないか」(同社)との見方を示す。
また、マイルユーザーへの展開を前面に押し出している同モールとは対照的に、A‐styleでは近年、マイルではなく現金で直接購入する顧客層の割合も高まりつつあるという。そのため、顧客属性が完全に一致していない面もあり、同モールに出店することでまだアプローチできていなかったANAサービスのユーザーを新たに獲得することができると期待している。
加えて、現状では自社通販サイトで販売している商品のすべてを同モールの出店先で販売しているわけではない。「将来的には同じレベルにしていくかもしれないが、実際に購入される顧客層は違うと思うので、そこは棲み分けが必要だと考えている」(同)と説明した。
基本的には自社通販サイトであるA‐styleの運営を維持しながら、同モールではブランド認知の拡大を図る場としてそれぞれ運営していくようだ。今後、グループ外も含めて有力なブランドの出店が拡大することで、幅広く利用者も増えていくこととなり、A‐styleへの集客にもつながると見ている。