大和心 賞味期限で割引販売

 元DHC会長が創業した大和心が「食品ロス」を意識した食品販売を始めた。販売価格に賞味期限を併記。同じ商品も賞味期限に応じて”別商品”として扱い、割引価格で販売する。小売業界に浸透する商慣習である「3分の1ルール」を逆手にとった販売戦略とみられる。

 昨年11月に開始した(=画像)。販売価格は、製造日を基準に賞味期限までの期間を「3分の1」区切りで設定。例えば、賞味期限が180日の場合、「Aゾーン(1~60日目)」に入る製品のうち、1~30日の販売価格は定価だが、後半は定価から2%引きで販売する。「Bゾーン(61~120日目)」は、61~90日が同5%引き、後半が同10%引きで販売。「Cゾーン(121~180日目)」は、121~160日がアウトレット割引価格で販売。161日を経過した後は販売を終了して廃棄する。

 賞味期限は、メーカーにより商品ごとに設定されている。通常、製造日にメーカーから販売店に出荷されるが、商品の売れ行きに応じて過去に製造したものを出荷する場合もある。こうした中、90年代に大手小売りが導入して浸透した商習慣が「3分の1ルール」だ。

 賞味期限が2年(24カ月)ある場合、製造から8カ月以内を納品期限として出荷されない商品を返品・廃棄し、さらに店頭で8~16カ月以内に売れない場合に返品・廃棄する。店頭でも賞味期限の近い商品は残る傾向にあり、賞味期限を顧客、流通、メーカーの3者が等分する考えに基づく暗黙のルールになっている。一部スーパーは、「ワケあり商品」など激安価格を売りに販売するが、中小もできる限り賞味期限の長い商品を扱うことを目的に大手小売りに追従したことで浸透してきた。

 一方で、最近は農林水産省、消費者庁がこうした商習慣の見直しをはじめ「食品ロス削減」に取り組み、消費者意識も変化する。メーカーによる保存技術の開発、小売りによる予約販売の強化に加え、フードシェアリング、賞味期限の近い商品を扱う通販サイトやネットサービスなどこれに着目したビジネスも増えている。

 大和心は、消費者庁による「送料無料表示」の見直しでも、取りまとめに先行して「低賃金・過重労働で苦しむドライバーさんを助けるため、政府からの『送料無料表示の撤廃』要請に答え、お客様にも配送料のご負担をお願いしております」(昨年10月時点、折込チラシ)など、配送エリアに応じた宅配料金を設定。行政施策を意識した取り組みを行っていた。

 現状は、1回の注文が3000円以上(税込み)で全国送料無料、同未満で一律350円となっている(大型商品など一部商品を除く、通販サイト)。

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