ニトリホールディングスでは通販事業が好調に推移している。2025年3月期については、前年に引き続き、ライブコマースによる販促が奏功。今期については、通販サイトやアプリに関して、より実店舗と連携した内容へと刷新を図り、リアルとネットで相互送客の強化を進めていく。
同社が手掛けている顧客参加型のライブコマース「ニトリLIVE」について、前期は累計視聴者数が前年比48.0%増となる935万人を突破。通販サイトにおいても、商品説明の強化を進めており、メインの写真だけでなく、おすすめポイントを画像や動画で追加して具体的に分かりやすくしたとしている。
それらの施策に伴い、通販での買い上げ客数が順調に伸長し、当期は同10.7%増となっており、伸び率では前年から2.7ポイント増となっている。
販促面では、当期よりテレビCMで取り上げた重点販売商品と連動させて、実店舗とECの双方で期間限定価格で販売している。
また、EC機能などを有する公式アプリについては、会員数が同16.7%増の2256万人に拡大。26年3月末には2500万人まで伸ばすことを目指している。
同社によると実店舗とECの併用者については、実店舗のみの利用者と比較して年間購入回数が2倍、年間購入金額では2.5倍と高くなっていることから、実店舗とECの相互利用を促すことを今後の鍵としている。
そのため、5月20日には通販サイトとアプリを刷新。購入する際に画面上で商品の受け取り方の選択ができるほか、配達にかかる送料や最短の納期なども同時に表示。合わせて、最寄りの実店舗の在庫も表示することで店舗での受け取りをより活性化させていく狙いがあるという。
さらに、ニトリブランドだけでなく、生活雑貨を中心とした「デコホーム」や、オリジナルアパレルブランドの「N+」といった傘下ブランドごとの特集ページを設けてブランドから商品を検索することも可能にしており、グループブランド全体で集客を図っていく考え。
そのほか、海外のニトリ事業においても通販を強化しており、台湾ではネットで購入して店舗で受け取るサービスのBOPISの導入を開始し、通販サイトと実店舗との相互送客を強化。加えて、自社サイトと台湾の外部各社通販サイトにて「W11(独身の日)キャンペーン」などを開催することで、売り上げ拡大を図っていった。韓国についても現地の大手検索サイトである「Naver」へのモール出店や広告掲載を行ったほか、自社サイトの連携も図るなどEC事業の拡大が進んでいる。
なお、国内の子会社である島忠グループに関しては、新規顧客の開拓に向けて、アプリやSNSを活用。アプリ限定の特典や、おすすめ商品を起点とした機能紹介や使用提案などの動画をSNSで配信し、会員獲得を図っている。