【EC支援】ミクシィ、仮想モール開設

mixiモールトップページ。友人の動向が一覧できる

ミクシィが仮想モール事業に参入した。3月21日、ディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で、自社SNS「mixi」内にDeNAの「ビッダーズ」をベースにした仮想モールを開設。「mixi」の友人・知人とのコミュニケーションを軸にしたもので、モール内で決済まで完結する仕組みだ。企業向けの「mixiページ」も活用する。「SNSとコマースの完全な融合」(ミクシィ・川岸滋也ソーシャルプラットフォーム統括部兼コマース部部長)を目指したという同仮想モールは、通販事業者にとって魅力的な〝売り場〟となるか。仮想モールの詳細をみていく。

ミクシィが開設した仮想モールの名称は「mixiモール」。DeNAの仮想モール「ビッダーズ」をベースにしたもので、「モノを起点としたコミュニケーション」がコンセプト。「コミュニケーションの活性化」と「商品の販売」という2つの狙いがある。デバイスはPC、スマートフォン、フィーチャーフォンの3デバイスに対応する。

開設時は、「ローソンHMVエンタテイメント」や「JiNS」など約1500店舗が出店。商品は約350万点をラインアップする。商品データは「ビッダーズ」と同期する形になっている

「mixiモール」へは「mixi」トップページから入場する。基本的なモール機能は「ビッダーズ」と同じで、トップページで商品検索が行える仕組み。商品ページにはカートを用意しており、モール内で購入まで完結する。決済手段は「ビッダーズ」に準拠する。

mixiモールのスマートフォン版商品ページ

友人に商品情報を拡散

国内最大のSNS「mixi」との連携による「ソーシャルコマース」が最大の特徴だ。

具体的には、全商品ページに「きになる!」「もってる!」ボタンを設置。これらのボタンをクリックしたりコメントを投稿したりすると、「mixi」内の友人のタイムラインに商品に関する情報が配信される。情報は商品名と商品画像付きで「○○(友人)がきになる!しました」「コメントしました」などと表される仕組みだ。こうした仕掛けで商品認知度の向上や購買意欲促進を狙う。

既存の「イイネ!」や「Like」ではなく独自の「きになる!」を採用したのは、「守備範囲の広い表現であらゆる感情をカバーする」(同)ためという。「もってる!」も、投稿のハードルが高い「レビュー」を使わないことでコメントを促進する狙いがある。「『mixi』らしいコメントが並ぶことで、新しいコミュニケーションが発生するのでは」(同)とみている。

商品ページでは、友人のコメントの閲覧が可能。また、ユーザーは自分のコメント履歴や追加した商品を、「mixi」トップ画面でリストとして確認することが可能だ。

「mixiモール」では専用のポイントが付与される。購入金額の概ね1%が付与される仕組みで、貯まったポイントは商品購入時に使用できる。

mixiページで交流

「mixiモール」のトップページでは、友人が投稿した「コメント」や「きになる!」などをクリックした商品を、最大15個まで新着順に表示する。表示商品をクリックすると商品ページに遷移。商品ページからは各店舗の「mixiページ」に行くことができる。

「mixiページ」は出店店舗のトップページとしての位置づけで、モール参加店舗は簡単に「mixiページ」を開始できる仕様になっている。同ページでは店舗ごとに「ランキング」や「新着商品」を表示できる。

ミクシィでは、「mixiページ」を「売り場」ではなく「コミュニケーション・プロモーションの場」とみており、同ページを起点にユーザーと店舗のコミュニケーションなどを活発化させる狙い。今後は店舗が独自色を出せるアプリも開発していくという。

ミクシィは「mixiモール」での広告は重視しておらず、要望があれば対応していく姿勢だ。ただ、モールへ誘導する企画は定期的に打ち出していく考えだという。

モールによる収益は、売り上げの数%を手数料として両社で分配。比率は非公表としている。

同モールではオープニング企画として、ローソンHMVエンタテイメントと共同で懐メロにスポットをあてた「青春タイムライン」を実施。生年月日からユーザーに関連ありそうな音楽を表示し、コミュニケーションや購入を活発化させる。こうしたイベントを定期的に行い、モールの利用促進を図っていく構想だ。

川岸滋也コマース部長に聞く

「ミクシィのソーシャルコマース戦略とは?」

ついに開設したミクシィの「mixiモール」。同モールで重要な役割を担っている「スマートフォン」と「mixiページ」について、川岸部長に詳しい話を聞いた。

――「ビッダーズ」が基になる以上、スマートフォンが重要なデバイスと思われるが、スマホ独自のサービスなどは。

「スマホは今後伸びてくるデバイスなので、必要な対応はしていきたい。DeNAさんの『ビッダーズ』もいろいろ取り組んでいるので、一緒に相談しながら進めていくつもりだ。ただ、例えばアプリを出すなどは一つの手段としてあるかもしれないが、スマホに特化したサービスを設けるとPCユーザーとスマホユーザーが交流できないので、今は独自のサービスは考えにくい。ただ、PCがメーンというわけでもないので、スマホへのアプローチは重要だと思う」

――「mixiページ」内でのアプリ展開の今後の計画は。

「ランキングや新着商品を紹介できるアプリはすでにあるので、他の具体案を検討している。mixiページ向けのアプリを開発しているグループ会社と協力して『mixiモール』と連携できるアプリを出す予定だ。店舗のニーズを聞きながら検討していく」

――すでに「mixiページ」でアプリを活用してネット販売している企業も多い。どう使い分けるべきか。

「『mixiページ』はオープンな場なので、基本的には店舗の意思にお任せしている。ただ、『mixiモール』への参加で自動的に作成される『mixiページ』の場合は、ユーザーが混乱するし、情報が連動できないので基本的には『mixiモール』に誘導してもらうことになっている。モールと関係なく、すでに『mixiページ』を持っている場合は、我々から特に強制することはしない。その場合は店舗にお任せしている」

――『mixiモール』の売り上げ目標は。

「そこは非公表としている」

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