NOTTV、ECの「売り場」としての可能性は?

      2月の開局記者発表会の様子

スマートフォンでの視聴を前提とした新たな放送が4月1日から始まる。「NOTTV(ノッティーヴィー)」だ。ドコモやテレビキー局などが出資するmmbiが運営し、目玉の7時間の生情報番組や既存CS番組などを放送する。現在、4月の放送開始を前に、テレビCMなど様々なメディアでその存在をPR中。初年度で100万人の会員獲得を目指すという。「NOTTV」を巡っては、現状、対応端末がドコモ以外の他キャリアからは発売未定であること。また、有料モデルなため、広く利用者を獲得するのは難しいのでは、との声も。とは言え、「通販」の新たな売り場として活用できる可能性もあり、ネット販売事業者は行方を注視しておく必要がありそうだ。

売りは「7時間の生放送」

「NOTTV」は昨年に終了したテレビの地上アナログ電波の「空き周波数帯」を使って放送する携帯端末向けマルチメディア放送。視聴にはスマホやタブレット端末など視聴対応端末を購入し、ドコモショップや専用アプリから申し込みを行い、月額420円を支払う必要がある。

チャンネルは3つで構成し目玉である7時間の生情報番組「notty★LIVE7時間!」などのオリジナル番組のほか、日テレやTBSと組んだ24時間ニュース、野球やサッカー、ゴルフなどのスポーツ中継や海外ドラマ、アニメなどの既存CS放送から調達した番組なども放送する。

「蓄積型放送」と呼ばれる放送も実施。携帯端末のSDカードにニュース、音楽番組などの情報が蓄積され、利用者が見たい時に見られる仕組み。番組のほか、放送開始から数ヶ月以内に「東京ウォーカー」「DIME」などの電子書籍や楽曲のダウンロード配信なども開始するという。

オークローンが通販番組

スマホを視聴端末とする「NOTTV」は当然、ネット接続ができることから、ECとの親和性も高いと見られる。ドコモグループの通販企業、オークローンマーケティング(OLM)では4月のスタート時から毎週土曜日の正午12時から1時間枠で「モトとるショッピング」という名称の番組を放映する予定。

番組の内容はOLMの人気商品が必ず「NOTTV」の月額費である420円以上値引きした価格で紹介されるもので、「U字工事」ら若手お笑い芸人を起用し、大喜利形式でOLMの商品を毎回、2~3商品、紹介する形の番組となる模様。ただ、この試みはトライアルの位置づけで全体の状況を見ながら、他の通販番組の扱いについては慎重に決めていくとしている。

「NOTTV」は今年4月時点では東名阪と福岡、沖縄で放送を始め、今年度中には主要都市で、2014年度にはほぼ全国で放送を行う。「初年度の契約数は100万契約、3年後(2015年度中)までには500万契約を獲得し黒字化したい」(mmbiの二木社長)としている。

視聴対応端末が現時点ではドコモのみでの発売(今上期中に7機種が発売予定)ということ、「ワンセグ」や投稿動画サイトなど動画の無料視聴に馴れた利用者があえて有料放送を見るのか、などの声も多く、事業開始から4年半でサービスを終了するに至った移動体向け放送サービス「モバHO!」の二の舞になるのでは、と懸念する向きもある。

ただ、仮に新たなテレビ視聴のスタイルとして根付いた場合、前述した通り、ネットとの親和性も高く、その双方向性を生かした番組や先の「蓄積型放送」を使い、電子カタログを配信するなどの活用も考えられ、通販の新たな売り場として機能する可能性もある。まずは「NOTTV」がどこまで契約数を獲得できるかを注視する必要がありそうだ。

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