アマゾンジャパンは6月5日から、運営するモバイル通販サイトや通販アプリ上でAR(拡張現実)技術を使って、スマートフォンの画面上に映し出された利用者の顔に選択した化粧品を使ってあたかもメイクをしているように見せる機能「バーチャルメイク」を導入した。疑似的ながら通販では難しかった「試すこと」を可能にすることで化粧品の購入率の向上を狙う考え。まずは一部のブランドの口紅でスタートし、今後、対象商品を拡充していく考え。
化粧品メーカー、ロレアル子会社のモディフェイスの技術を活用したもので、アマゾンのサイトの化粧品販売ページ上の対象商品の商品詳細ページ内に表示する「メイクしてみる『試す』」をタップし、遷移した「メイク方法を選ぶ」で”疑似メイクを行う顔”について、スマホのカメラで利用者自身の顔を動画で撮影しながら、リアルタイムに疑似メイクを施す「ライブモード」(Android版のみ。iOS版は非対応)か、利用者の顔を写真撮影した画像または事前に撮影されたモデルの顔を使って体験するいずれかの方法を選択後、色や濃さを選ぶとスマホ画面に表示された自身の、またはモデルの顔に疑似メイクが施される仕組み(=画像)。
「バーチャルメイク」に対応する商品カテゴリーは購入前に色を試したいという要望が特に高いリップカテゴリーから導入。スタート時点では日本ロレアル、資生堂、ァネボウ、コーセー、花王の5社が展開する「オーブ」や「ケイト」「メイベリン」「インテグレート」「ソフィーナ」など18ブランド、約890点。今後、対象のカテゴリーやブランドを拡大していくとしている。
モディフェイスの技術を導入したバーチャルメイク機能はすでに米アマゾンでは5月中旬からテスト運用を始め、6月5日から本格的に実装を始めており、日本は2カ国目の導入となる。なお、日本国内において同技術を導入したサービスを展開しているネット販売サイトは初めて。ただ、中国ではEC大手の京東集団(ジンドン)が自社サイト上で同様の機能をスタートさせており、実購買率アップやマーケティング面などで実効を上げ、「AR化粧鏡」と題して店内に大型モニターを設置し、来店者が疑似メイクを楽しめる実店舗向けに販売支援サービスなどの展開も中国や日本などで開始しているなど、AR技術を活用したEC支援サービスは国内外で広がりを見せ始めているようだ。