三陽商会は6月27日、同社初となるパーソナルオーダースーツブランド「ストーリー アンド ザ スタディー」を9月にスタートすると発表した。これまで培ってきた高い技術の物作りと最先端のデジタルテクノロジーを活用し、顧客ごとの体型に合わせたシルエットとシームレスな購買体験を提供するとしている。
オーダースーツは、実店舗でフィッターが袖丈や肩幅など基本となる採寸を行うのに加え、タッグを組むサピート社の独自3D解析ツールを使って利用者の体型・姿勢の特徴を解析する。具体的には、ユーザーの正面と横向きの写真2枚を撮影し、肩や腰のバランス、傾斜といったスーツの着心地とシルエットを決める身体の立体的な特徴にフォーカスして3D解析し、数値化することで従来以上に動きやすく無駄な”しわ”のない美しいシルエットのスーツを提供するという。
フィッターは利用者ごとのパーソナルな着心地や補正情報を理解し、セ接客時にはバーチャルデザインシミュレーターを利用。顧客のカスタマイズ項目を反映した完成イメージを生成して、リアルな仕上がりイメージをタブレット上で確認してもらえるようにする(画像)。採寸情報や補正情報はウェブ上で共有し、2着目以降はECでも購入することが可能だ。
生産面は福島にあるテーラード用の工場、サンヨー・インダストリーが担う。スーツ1着の工程に約70人の職人の手が加わり、通常の倍の時間をかけて熟練の技術者がミリ単位の調整を行い、100%国内生産で注文から最短2週間で届ける。
採寸や3D解析を行う実店舗については、9月に全面刷新する三陽銀座タワー内に1号店を開設する予定だ。その後は「ストーリー アンド ザ スタディー」の直営店オープンや百貨店、都市型ショッピングセンターなどを候補とした出店で店舗数を増やしていくのと同時に、同ブランドのフィッターの育成を進め、5年後には25億円の売上高を目標とする。
商品はメンズスーツ4スタイルが税別4万9000円から、レディースはジャケット3スタイルが同3万3000円から、ボトムス5スタイルが1万6000円から、ワンピース1スタイルが2万8000円からとなる。なお、事業化に当たっては、ブランディングはGO、3D解析はサピートと連携するオープンイノベーション型として展開しており、今後はその他の専門チームとの協業も検討する。