有名店の手腕で 出店者の月商上向き 「楽天EXPO」トークセッションから

トークセッションの様子

楽天市場では4月から、有名店舗が他の出店店舗をコンサルティングする企画「Rakuten Nations」を始めた。「シルバーバレット(運営はピー・ビー・アイ)」「Z‒CRAFT(同ロイヤル)」「イーザッカマニアストアーズ(同ズーティー)」「北海道お土産探検隊(同山ト小笠原商店)」「爽快ドラッグ」の5店舗が、月商100~300万円の店舗を1年間サポートし、月商1000万円を目指すというもの。7月に都内で開催された「楽天EXPO 2016」では、5店の代表とコンサルを受けている店舗の代表によるトークセッションが行われ、中間報告や月商1000万円に向けた今後の見通しなどが明かされた。
今回の企画では、合計24店舗がコンサルを受けている。まず、4月から9月までの半年間に期間を区切る。コンサルを開始する前の2015年3月から16年2月までの平均月商を基本とし、直近3カ月平均の月商が2倍になっていれば「コミットメントライン」をクリア。9月末までに倍になっていない場合はパートナーによるコンサルが終了となる。
コミットメントラインをクリアした後は、開始時平均月商との月商の差額を計算し、のうち10%をパートナー企業が受け取る。なお、月商1000万円を超えた場合月商を1000 万円を設定し、差額を計算する。すでにコミットメントラインをクリアているのは4店舗。単月で平均月商が倍増しているのは4店舗となる。トークセションから抜粋して紹介する。

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1/ 3の店舗が月商倍増

まずは「基礎固め」から

――コンサル内容はどういうものでしょうか。

爽快ドラッグ・小森紀昭氏(以下、小森):まず「コストをしっかり把握しましょう」と伝えました。売上高から変動費を引いた「貢献利益」がマイナスになっては意味がない。その上で、店の特徴や何を伝えたいか、ユーザーインターフェースはしっかりしているか、などを指導しています。
ロイヤル・近藤武志氏(以下、近藤):各店舗を訪問し、話し合いました。「その商品を誰に売りたいのか」をもう一度明確にしましょうと伝えたほか、既存客のアフタフォロー強化、検索がしにくいなど、店舗内で商品を探しにくい部分の改善などから始めました。
イーザッカマニアストアーズ・今石雄介氏(以下、今石):店の規模や担当の役割がそれぞれ違うので、「店舗運営とどう向き合うか」から始めました。担当者も考え方はそれぞれであり、全員に押し付けるというものではなく、話し合いながら進めています。
北海道お土産探検隊・小笠原航氏(以下、小笠原):最初に店舗の面接をしたわけですが、私が2代目でネット販売に参入したという経緯もあり、似た立場の人間が運営者となっている店舗を選びました。まず会社の現状を知るために各店舗を回り、うまく行っていない部分を自分なりに確認しました。
シルバーバレット・高木孝氏(以下、高木):基礎体力をつけることが重要。毎週1回、各店舗に課題を出しています。こうした取り組みを通じて、自社の強みや弱みを掘り下げていきました。また「RuX」(楽天が提供する、運営に関する情報やノウハウが学べる動画専門講座)を毎週3本見て、感想を出してもらっています。例えば「配送が弱い」という弱点が見えてきたら、配送のノウハウを紹介したRuXの事例を見て改善する。

――コンサルして難しかった点は。

小森:自分たちが当たり前にできていることが、実はそうでもないことが多いですね。具体的に言うと、型番商品を扱っている場合、その型番で楽天市場内検索した時にきちんと表示されるようにしているか、検索で表示された際に、送料無料商品であるならその旨を打ち出せているか、画像でアピールできているかといったようなものです。こういったものは細かく積み上げることでベースができます。一つの商品の売り上げがランキングに影響し、そして楽天市場内検索の結果に影響してきます。最近の検索順位はリアルタイムの売り上げにかなり基づいているので、ユーザーに来店してもらうためのチャンスはあまり多くない。ですから、商品名や画像を工夫することがかなり重要になるわけです。
近藤:業界特有の通例のようなものが障壁になることがあります。そこをひっくり返して物を見てくれると伸びるのも早いのでしょうが、なかなか切り替わらないと厳しいですね。少しずつでも変わって欲しい。最初に担当店舗に言ったのは「1000万円を超えなくてもいいから、1年後や2年後に『潰れちゃいました』ということはないようにしましょう」というスタンスで行くこと。ですから、地道な積み重ねが必要ということを理解して欲しい。「これさえやれば大丈夫」というものはありませんから。
今石:特に経営者でない担当者の場合は、「結果出さないといけない」ということで、頑張りすぎていないかが心配で、どのようにケアすべきか難しい部分があります。店舗運営でやるべきことはたくさんあるが、最初の段階で全部やる必要はないわけです。例えばメールマガジンを書くよりまずは商品数を増やそうといったものです。負荷をかけすぎて数字もついてこないという流れは良くないので、今は何をすべきかという話を個々にしています。
高木:各業界の慣習にとらわれている部分や、自分たちが当たり前だと思っていてもユーザーには伝わっていない部分はたくさんあります。これをイチから変えるのに時間をかけました。売るのではなく、買ってもらうためにどうするか。例えば素材が何も分からなかったら、ユーザーは何を選定基準にすればいいのか分からない。業界が長ければ長いほど物の見方が凝り固まってしまっている部分がある。小学生でも分かるような商品説明や商品名に変えた方がいいですよ、といった感じで対話に時間をかけました。

――結果が出ている店舗の共通点は。

小森:精神論になるが、やる気。例えば10回トライしてすべて成功するわけではないので、失敗ばかりしてもあきらめずに繰り返し打ち手を講じることが重要だと思います。
近藤:そんな簡単に結果が出るものではないのですが、顧客の顔をちゃんと見ることができる人は成功すると思います。顧客の顔が見えないと自分の商品も見えないし、誰に伝えればいいのかも分からなくなります。
今石:素直であること、あきらめないこと。「こういう店にしたい」「こういう顧客にこういう商品を売りたい」ということを明確にし、その上で出来ていることを出来ていないことを突き詰め、さらに振り返りができる店舗は自走していくのではないでしょうか。
小笠原:コンサルというよりは、寄り
添いながら一緒に頑張ろう、というス
タンスなので、それに付いてきてくれ
る人ですかね。心とテクニックも必要
なので、そのバランスが取れる人がう
まくいくのでは。
高木:確かに「言われたことは何でもやってみる」という店舗の方が結果は出やすいと思いますね。がむしゃらにできるというのも素直さがあるからだし、「早く変えた方がいいよ」と言われた時に、素早く変えることができるのも素直さがあるから。何か言われて「でも」となったり理由をつけたりする人は駄目だなと。

コミットメントラインを突破した4店舗の担当者も交えてのトークセッションの模様は本誌にて→購入はこちら

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