TSIホールディングス傘下でイスラエル発のボディケアコスメブランド「Laline(ラリン)」の日本事業を手がけるLaline JAPANは6月4日、ECの接客を実店舗スタッフがリアルタイムで行うオムニアプリツール「HERO(ヒーロー)」を5店舗に導入した。
「ヒーロー」はテキストメッセージやチャット、ビデオ通話を使ってリアル店舗とオンラインショッピング中のユーザーをつなぐ海外製の対話アプリだ。ビデオ通話機能などを通じ、店舗スタッフが直接オンライン上で接客することで、EC利用者にも満足度の高い買い物体験を提供できるのに加え、リアル店舗への来店促進も期待できるという。
海外では「ナイキ」や「ラグ&ボーン」などの有力ブランドがオムニチャネル戦略の柱として活用しているようで、日本では今回が初めての事例となる。
TSIグループによると、昨今は商品の画像だけでなく、販売員のコーディネートを紹介するコンテンツのアクセス数が増加しているほか、オンライン上での質問も店頭と同様に顧客一人ひとりのニーズにきめ細かく対応することが求められるなど、顧客体験を高めることが重要となっている。同社グループは今期(2021年2月期)、実店舗とECが一体化した接客体験を提供するユニファイドコマースに注力する方針で、オムニツール「ヒーロー」の導入もその一環となる。
とくに、「ラリン」が扱うボディケアコスメなどは商品の質感や使用時の仕上がりなどを伝えながら接客することが多いため、アパレルブランドに先行して導入した。
EC利用者は、パソコンとスマホ版の「ラリンジャパン公式オンラインショップ」の画面右下に表示される吹き出しマークをクリックすると、対応可能な販売員がいる店舗とつながり、チャット画面が立ち上がってチャットやビデオ通話ができる。
「ラリン」では全国27店舗のうち、まずはルミネエスト新宿店と有楽町マルイ店、タカシマヤゲートタワーモール店、ルクアイーレ店、札幌パセオ店の5店舗でスタートし、順次、対象店舗を広げていく予定だ。
また、新型コロナウィルス感染拡大の影響で実店舗が休業を余儀なくされたり、消費者自身も新しい生活様式への移行を求められる中、当初は「ラリン」で「ヒーロー」をテストして成果を検証する予定だったが、TSIグループ傘下の複数のアパレルブランドにも幅広く導入して運用を試すことにしており、8〜9月頃をメドにゴルフウエアブランドの「パーリーゲイツ」などでも活用を始めるという。