三越伊勢丹ホールディングス VR活用のスマホアプリ始動

 三越伊勢丹ホールディングスは3月10日、VRを活用したスマートフォン向けアプリ「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」の提供を開始した。オンラインストアと連携し、仮想空間内の伊勢丹新宿店で扱うコスメやファッション商材などを販売する。将来的にはアバターが着る服などのデータ販売も視野にあるほか、異業種と組んで映画やコンサートといったコンテンツの提供も目指す。

 同アプリは仮想都市空間サービスで、利用者は自身のアバターを操作して仮想空間で自由に時間を過ごせる。舞台となるのは仮想新宿で、スタート時は新宿東口の街の一部エリアと伊勢丹新宿本店を再現した。

 利用者はチャット機能を使って友人や家族、他のユーザーと会話ができるほか、手を振ったりお辞儀をしたりといった11種類の動作で交流可能だ(画像(上))。フレンド申請をすればプライベートチャットも楽しめるという。

 同アプリ内の伊勢丹新宿店で展開する商品は実際に販売している商品で、商品に近づくと空中にバーチャル値札が表示され、タップすると拡大画面で閲覧でき、ウェブマークを押すと通販サイトに遷移して購入できる。

 仮想店舗でもリアル店舗と同様に催事を定期的に開催する予定で、スタート時は化粧品の人気イベント「イセタン メイクアップ パーティ」を仮想店舗1階で3月30日まで開催(画像(下))。出店する36ブランドのうち10ブランドはバーチャル出店のみという。販売商品は約150点でブランドブースには販売員のアバターが出現する。

 また、仮想デパ地下でもリアル店舗と連動した「世界を旅するワイン展」を3月26日まで開催。伊勢丹バイヤーが厳選したワイン30セットを販売する。会期終了後は常設のワイン売り場として運営する予定だ。

 3月下旬には仮想1階に婦人服売り場の「リ・スタイル」を、仮想デパ地下には洋菓子コーナーを立ち上げて常設展開する。

 「リ・スタイル」は実際の売り場をアレンジし、約15ブランドがボックスの中で商品を見せる。同売り場ではアバター販売員による接客も始める予定だ。

 「レヴ ワールズ」の開発期間は半年強で、プロジェクト開始時は2023年のローンチを目指していたが、コロナ禍でスタートを早めたという。

 今後は、約3カ月ごとに大型のアップデートを実施し、コンテンツを充実させていく。将来的には新宿駅周辺など新宿の幅広いエリアをVRで構築していく予定だ。同時に、現状はEC機能がメインだが、アバター用の服や髪型といったデータ販売も視野に、「在庫を持たないビジネスにも取り組みたい」(同社)としている。

 また、外部企業との連携も進め、映画鑑賞やステージショー、コンサートなどエンタメ体験ができるシステムも開発予定という。

 アプリダウンロード数などの目標値は明らかにしていないが、初年度はアプリの認知拡大に努め、三越伊勢丹の既存顧客だけでなく新規顧客へのアプローチも進める。

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