ファーストリテイリング 海外ECが好調維持

 ファーストリテイリングでは、コロナ禍による在宅商品需要の高まりなどを受けて、国内以上に海外事業でのEC売上高が増加している。今後は実店舗との連携を加速させることで、アジア圏を中心にさらにEC売上高を引き上げていく考え。

 今中間期(2020年9月~21年2月)の海外ユニクロ事業について、各国・地域の状況を見ると、まず、グレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾)については前年同期比で約1割の増収。利益面でも、大型商戦で値引き販売を大幅に抑制したことで改善が進んだ。

 その他アジア・オセアニア地区では、同約6割の増収。ラウンジウェア、スポーツユーティリティウェア、Tシャツ、ショートパンツといった夏物商品の販売が好調だった。オーストラリア単独では同約8割の増収となり、好調を維持している。

 米国については約1割の増収。「エアリズムソフトレギンス」「バイカーショーツ」といったスポーツユーティリティウェア、スウェット、ラウンジウェアなどの在宅需要にマッチした商品の販売が好調だった。カナダではラウンジウェア、Tシャツなどがけん引して、EC売上高が同約倍増となった。

 欧州全体では同約8割の増収。アプリやメルマガの会員を増やしたことや、デジタルマーケティングを強化したことなどが奏功した。

 なお、4月8日に行われた決算説明会では、柳井会長兼社長が海外事業の展望として、「アジアが成長センターになる」とコメント。

 2030年までに世界で50億人が中産階級になり、その半数以上がアジアであるというデータを引用して「出店ペースを上げていき、アジアで圧倒的なナンバーワンになる。そのための鍵を握るのがインターネット販売」(柳井会長兼社長)と強調。

 実店舗販売とECが融合した効果的な施策の1つの例としては、EC商品の実店舗受け取りサービスを挙げており、「受け取ったその場で着用が可能で、サイズが合わなければ交換ができる。(受け取りの)来店の際に、他の商品を購入する客もたくさんいる」(柳井会長兼社長)と説明。英国の場合、現状での店頭受け取り利用者は40%ほどおり、他の国でも今後の増加を見込んでいるという。

 各国でのEC強化に向けて、現在は各現地で自動倉庫の開設に向けて着手しているほか、各国・各地域の経営チームにおいても若い人材を積極的に登用してグローバルでのEC事業の基盤づくりに取り組んでいるとした。

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