楽天 「成功事例」動画で配信

 楽天グループでは、仮想モール「楽天市場」に出店する店舗の成長ストーリーを紹介する動画「Rakuten(楽天)DREAM」を公開している。もともと楽天DREAMは紙の冊子として発行し、店舗向けに配布していたものだが、現在は「ユーチューブ」などで、10分程度の動画として店舗の成功事例を紹介。コロナ禍で取材がしにくい状態が続いているものの、楽天の担当者が工夫を重ねることで「頑張っている店舗の取り組み」を発信している。

 楽天DREAMは、「RakutenICHIBADREAM」として2005年に第1号を発刊。紙媒体としては134冊、16年からは動画形式として82本発行しており、累計では684店舗を取材してきた。

 20年3月にはコロナ禍もあり、一時制作をストップ。「ZOOM」によるオンライン取材を活用することで、20年7月から制作を再開している。社内の様子などは、店舗のスタッフにスマートフォンで撮影してもらうことで対応した。視聴した店舗からは「コロナ禍でもクオリティーが落ちていない」「リモートでも店長の熱い思いが伝わってくる」といった声が出ているという。22年1月からはオフラインでの取材を再開する予定だ。

 動画では店舗の紹介からはじまり、出店の経緯、ターニングポイントや成功ストーリーを紹介。「どんな課題があり、どう乗り越えてきたか」を明確にする。最後は「今後の夢・展望」を店長に語ってもらう、という構成だ。楽天は、店舗の強みや個性を分かりやすく伝えるための編集を心がけている。「出演する店舗は、問題や課題に当たった際でも前向きに取り組んで乗り越えてきた、という点が共通している。出店時から成功のみを収め続けてきた店舗は少ないので、いかに壁を乗り越えるかが成長の秘けつではないか」(楽天大学グループの岡部氏)。
 視聴店舗からは「とても勉強になった」「希望と勇気をもらった」「夢や目標の大切さを再認識させられた」「いつか出演できるように頑張る」といった声が、さらに出演店舗からは「いつか出たいと思って運営してきたので、夢がかなった」「ここまで来たかと山を超えた気分」「出演後に多くの反応があり、いろいろな人に力を与えられたのかなと。さらなる飛躍の力になった」というコメントが寄せられているという。

 21年5月に公開された動画に出演している「菅原靴店」は、岩手県盛岡市でシューズを中心にファッションアイテムを販売している。運営する菅原靴店の店舗運営責任者である、菅原専務取締役(=顔写真)は、楽天から取材依頼があったときに「店舗仲間が動画に出演していたので、『うちもようやくここまで来たか』と思い、二つ返事で出演を引き受けた。ノウハウは公開するので、何でもシェアしたいという気持ちだった」と振り返る。

 ノウハウを明かすことに関しては「真似される不安はなく、皆さんが壁を越える一助になればという思いがあった」。逆に、改めてアウトプットすることによる、学びや気づきがあったという。「過去を振り返ることで『こんなことがあったな』『こんな施策をした』と思い出し、考え方が整理された」。

 これまでさまざまな山を超えてきた菅原氏。月商が伸びるにつれて、ネット販売の世界で横のつながりが増えていったという。「自分と違う価値観の人や、尊敬する人と出会ったことで新たな学びがあり、『この人たちに追いつくためにどうすればいいか』という次の山が見えてきた。楽天DREAMへの出演も、横のつながりが増えるきっかけになっており、出なければ井の中の蛙で終わっていたかもしれない。新たな世界が開けたことが一番ではないか」。

 動画出演後には、楽天市場出店店舗からSNS経由で相談を受け、アドバイスする機会もあったという。菅原氏は「『ECは競争が激化しすぎて伸ばすのはもう難しい』という人もいるが、そんなことはない。売り上げを伸ばすためのノウハウや施策はいろいろあるが、一番重要なのはモチベーション、熱量だと思う。また、当社は『大人が本気で仕事を楽しむ姿を子供たちに見せることで、未来を担う子供たちに仕事を楽しむマインドを持ってもらう』ことを理念としており、『仕事を楽しむ』ことも成功のためには大事だと思っている。私が出演した動画にはそういったメッセージを込めたので、店舗の皆さんに伝われば」と話す。

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