各国の消費者の嗜好、仮想モールの規定を注視する必要ありーー越境ECで効果的な商品画像とは?

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越境ECで効果的な商品画像とは?

 以前から安心安全で質のよいイメージのある日本の商品のニーズは高かったが、コロナ禍を乗り越え、消費意欲が高まりつつある中で海外の消費者の日本商品への興味・関心は増している。それゆえ、有望な販路として越境ECに着手し始める日本の事業者が増えているようだ。とはいえ、越境ECで成果をあげることは簡単ではなく、抑えねばならないポイントがある。今回は、越境ECを展開する上で知っておきたい“越境ECで刺さる商品画像”についてみていく。

商品画像の背景「白」にすべき

 国内海外問わず、通販サイトに掲載する商品画像はその商品の価値や機能などを消費者に伝える上で重要な役割があり、画像1枚で売れ行きが伸びることもあれば、逆に売れなくなるばかりでなく、クレームや返品を多発させてしまうことも。国内とは感覚が異なる海外の消費者にECを展開していくには注意が必要となる。

 まず、確認すべきこととして現地で展開する仮想モールが定めている規定に合致しているか否か。越境ECを行うにあたって自社サイトではなく、現地の仮想モールに出店して展開するケースも多いが、商品画像にこだわる云々の前にその規定の反していると掲載自体ができない、または優遇措置を受けられなくなるなどのペナルティが課されることがあるためだ。

 海外の主要な仮想モールが定める商品画像についての規定(=別表参照)は様々だが、多くで共通している点は「商品画像の背景色は白」と指定または推奨していることだ。

 海外のEC事情に詳しい越境ECを含むネット販売実施事業者らに向けてささげ(撮影・採寸・原稿)業務代行事業などを展開するグラムスによると、特に欧米の消費者は日本とは比較ならないほど、デザインに対して、非常に厳しく、背景色でごまかされずにしっかりと商品を見たいという傾向があるという。

 そのため、クリーンでシンプルな印象が好まれており、eBay(イーベイ)やWalmart(ウォルマート)では白背景を推奨、さらにAmazon(アマゾン)では白背景を含む規定に反した場合、強制的に商品画像が取り下げられるなどの非常に厳しい措置が採られるという。

 なお、規定が厳しい欧米のモールの基準では白背景は“白っぽい”だけでよいわけでなく、カラーコードでいう「#FFFFFF」または「RGB255,255,255」と規定している。既定の白色を商品の撮影時に作り出すことは難しいため、画像編集ソフトなどで白抜き加工を行う必要がある。

 「白背景」についてはアジア各国でも同様の傾向のよう。中国では政府がECの標準化を目指して2019年に施行された中華人民共和国電子商取引法で商品画像について、白背景を推奨したことなども背景にあり、淘宝(タオバオ)や京東(ジンドン)では白背景の商品画像を用いることで、出店者の「ウエイト」(※その数値に応じてモール内での商品露出が増す制度)が高まる優遇措置をとっている。このほか、東南アジアや台湾などで展開するShopee(ショッピー)でも白背景を推奨している。

 各主要モールの現状を確認してみると、実情としては欧米の仮想モールでもスペックを表すイメージ画像やテキストが挿入されている商品画像なども散見されている。ただ、これは近年、増加傾向にある中国からの出品者が自国のECサイトで使用しているものをそのまま掲載しているケースと見られ、その数があまりに数が多すぎ、モール側が完全には指摘しきれていないだけのようだ。こうした事例はイレギュラーなケースだと捉え、商品画像は白背景のシンプルなものが基本と考えておくべきだろう。

 中国の各仮想モールでも電子製品では白背景の画像が多くなってきているが、スタンプや文字を挿入し、アイキャッチを狙っている画像が現状ではまだ大半。ファッション商材ではメイン画像にモデル着用画像が多い傾向だ。東南アジアの各モールでは画像内に装飾や文字が多い。特に現地出品者や東南アジア圏の出品者の商品画像は顕著で欧米からの出品とみられるシンプルな白背景画像と混在している状況だ。

 いずれにせよ、各仮想モールでの規定をはじめ、ECサイトにおける商品画像の白背景化は世界標準となりつつある。複数の国々へ越境ECを展開しようとしている事業者は特に使いまわせる画像という観点からも白背景の商品画像に統一して使用しておいた方がよさそうだ。

各国消費者の商品画像の好みとは?

 各国の消費者が好む商品画像の傾向と日本の事業者が越境ECを行う上で気を付けるべき点などについてみていく。

 欧米では前述通り、商品のデザインや画像のクオリティに関しての消費者の目は非常に厳しい。日本ではクオリティに問題がないものでも欧米においては評価されない場合もあるようだ。特にモデル撮影の場合、肌の色再現などについても考慮する必要がある。欧米の消費者は肌の色の表現に敏感な場合があるため、あまりに加工し過ぎることも避けるべきだろう。統一感も重要。カテゴリーページなどの商品が一覧で表示されるページにおいて、メインの一画像のみクオリティが高くとも、その他の画像の被写体とのサイズにばらつきがあったり、商品の配置やレイアウトに統一性がなかったりすると雑多な表現とみなされ、離脱率が上がってしまうようだ。特に同じカテゴリの商品は同様の配置、レイアウトで撮影することが重要だという。

 中国では白背景写真を主要モールで推奨しているが実際には多くの出店者が個々に商品画像に文字やスタンプなど様々な装飾を施している様子が散見される。現状ではシンプルさよりも目を引くような商品画像が好まれているようだ。今後は別として、直近では優遇措置が適応される「ウエイト」とのバランスを考えつつ現地の競合の動きを見ながらの工夫が必要になりそうだ。

 東南アジアは商品の詳細なスペックが伝わりやすいようするように多くの商品画像の掲載が必要だ。これは訴求力を高めるという点のほか、無用な返品を避けるためだ。日本では商品画像以外に採寸値や素材などのテキスト情報を確認してから購入を決める判断する消費者が多いが、東南アジアではそうした情報や商品ページ全体をあまり注視せず、画像情報のみで購入を決める消費者が少なくないようだ。そのため、特にファッション商材などではサイズの問題での返品が多いという。あらかじめ可能な限り、多くの画像で情報を網羅しておくことが重要なようだ。

 国・地域によって、または販売する商品によっても“消費者に刺さる商品画像”は大きく異なってくる。越境ECを展開する国の仮想モールの規定や動きなど抑えるべきことは抑えつつ、商品の良さまたは安心感などを現地の消費者に効果的に伝えるためにはどのような商品画像を用いるべきなのか、効果検証を重ねていくことも必要となりそうだ。


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