沖縄特産販売、命令前に謝罪社告掲載――消費者庁、景表法違反で処分へ

 健康食品通販を行う沖縄特産販売は今年5月、日刊紙2紙に謝罪広告を掲載した。販売する健康食品の広告が景品表示法に違反するものだったとするもの。処分を見越した先出し社告とみられる。同社は社告掲載翌月の今年6月、消費者庁から景表法に基づく措置命令を受けている。

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社告で謝罪、景表法違反を告知

 景表法の措置命令は、従業員等への処分の周知、消費者への周知、再発防止策の実施を求められるのが通例。措置命令とセットで行われる課徴金納付命令は、「消費者への周知=消費者の誤認を排除した時」までを対象期間として算定される。一般的に行われるのは、新聞等に景表法違反の事実を告知する社告掲載。今回、命令前に社告掲載したのは、こうした背景があるとみられる。同社は、社告で高血圧や糖尿病の改善など疾病の治療・予防効果を表示していたと告知。「勉強不足もあり、信じていたエビデンスに対する理解に消費者庁と隔たりがあった。真摯に指摘を受け止め再発防止を図る」(同社)としていた。日本経済新聞、産経新聞に社告を掲載した。

 同社は、健康・美容関連飲料やサプリメントを通販する「沖縄シークヮーサー本舗」を運営する。日本通信販売協会(=JADMA)、沖縄県健康産業協議会の会員企業。民間信用調査期間の調べによると、2021年3月期の売上高は、前年比4.5%増の19億円に上る。

沖縄特産販売が配布していたダイレクトメール

高血圧や糖尿病に効く、と広告

 社告では、販売する「養力珪素」の景表法違反について謝罪している。

 「養力珪素」は、ミネラルの一種である珪素(=ケイ素、シリカ)を配合した液状の健康食品。そのまま飲用したり、ほかの食品に混ぜて使用する。サイトによると、顧客数は6万人超。これまで100万本を販売したという。「50ミリリットル」タイプは、定期価格が4320円(税込)。「200ミリリットル」タイプは、同1万1340円(同)。

 19年5月から20年11月にかけて、複数回に渡り配布したダイレクトメールで「いろんなお悩みに働きかける珪素のスゴイところ」と題し、「血液サラサラ」「高血圧と血糖値が高い方へ珪素の結晶体は優れた浸透性と浄化作用で中性脂肪を分解する力が強く、血管壁に付着したコレステロールや過酸化脂質を取り除き血管を強くします」「しみ、しわ解消シミ、シワ、イボなど人体に不用なものを無くしてくれます」「二日酔、悪酔、朝の目覚めスッキリ」「アトピー性皮膚炎(略)殺菌力、消炎効果によってかゆみを抑えて写しいい皮膚を取り戻します」などと表示。摂取や噴霧によってケイ素の作用により、血液をサラサラにする効果や高血圧・糖尿病の改善効果、アトピー性皮膚炎の解消など14に渡る医薬品的効果効能を標ぼうしていたとする。

 また、20年4月から昨年4月にかけて配布した同梱チラシで「いろんなお悩みに働きかける珪素のスゴイところ!」と題し、同様の効果をうたっていた。

 消費者庁は不実証広告規制の規定に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠を要求。同社から期間内に根拠の提出はなかった。

既存顧客向け広告にも監視の目

  沖縄特産は、返金など今後の顧客対応について、「この商品の担当になって4年経つが、お客様からも大好きな商品との声をいただいてクレームをもらったことがない。サイト等の告知後もない。問い合わせがあれば相談させてもらう」(同社)としている。

 一方、JADMAは今回の処分に「問題のある表示で厳正に対処せざるを得ない」(万場徹専務理事)としている。処分は、「注意」「厳重注意(改善勧告)」「除名」の3段階。基準に基づき、今後検討する。

 今回、処分の対象になったのは、顧客向けのダイレクトメールや、他社の通販カタログへの同梱チラシ。既存顧客や他社の通販顧客が対象で広く一般消費者の目に触れるものではない。こうした媒体であっても消費者庁の監視の目が光っていることを注意する必要がある。

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