ヤフー 仮想モールを統合

 ヤフーは10月にも、運営する2つの仮想モールを統合する。これまで年商規模や優良な取り引き状況など一定条件をクリアした企業のみに出店を制限した仮想モール「PayPayモール」と一般事業者らが出店する「ヤフーショッピング」をそれぞれ展開してきたが、例えばグループ会社のPayPayが展開するスマホ決済アプリからは「PayPayモール」のみ誘導する導線を設けているなど2つのモールでグループの各サービスからの送客が分散してしまう不都合点や利用者からデザインや機能、キャンペーンなど2つの仮想モールの違いが分かりにくいとの声なども寄せられていたことから両モールを「ヤフーショッピング」に一本化することで、他のサービスからの送客を一本化および最大化。利用者に還元するポイントなどの付与キャンペーンなどもわかりやすい内容に変更して仮想モールの流通総額拡大を図る狙いだ。

 統合後の”新生ヤフーショッピング”では現状、「PayPayモール」の出店者から徴収している税抜販売価格の3%の「PayPayモール掲載料」を廃止。初期費用や毎月の固定費、売上ロイヤルティは既存の「PayPayモール」「ヤフーショッピング」と同様、統合後も徴収しない。なお、アフィリエイトパートナー報酬原資や手数料、決済サービス個別手数料、オプションサービス使用料はこれまで通り、徴収する。

 また、統合後はヤフーショッピング内に一定の基準をクリアした出店者が参画できる「優良ストア」を用意。優良ストアが販売する商品について、モール内の商品検索結果の一覧に専用アイコンを表示、利用者に分かりやすいよう訴求。トップページなどからも優良ストアへの誘導を強化する。なお、優良ストアとなれる店舗の基準は明らかにしていないが、「ユーザーからの評価や受注商品の出荷の速さなどヤフーが定める店舗としてのレベルを過去90日間において、80%以上維持している」など現状のPayPayモールの出店基準をベースにより強化したものにする予定のようだ。

 また、統合後は配送サービスを強化。現在、両モールで当該出店者全体の出荷遅延率や商品の受注から配送完了までの早さなどが一定基準を満たした商品に、商品検索結果や商品詳細ページで「優良配送」というアイコンを表示する取り組みを行っているが、優良配送対応商品を利用者にさらに訴求すべくアイコンの表示面をさらに増やすなどの施策や優良配送を実施する出店者向けのキャッシュバックキャンペーンを順次、実施していくという。

 「PayPayモール」は2019年10月に新設。ヤフーショッッポングとは一線を画して、年商規模や優良店など一定条件をクリアしたネット販売実施企業のみに出店を制限したプレミアム仮想モールという位置づけで、2013年に実施した「ヤフーショッピング」の出店無料化で増え続けた有象無象の店舗との埋没を嫌った優良店やそもそも出店を避けていた大手事業者にヤフーショッピングとは異なる選別された優良な別の売り場を提供し、やる気を引き出し楽天やアマゾンなどの競合に水をあけられているEC事業を強化したい狙いがあった。

 「PayPayモール」のスタートから狙い通り、大手事業者らの誘致に一定の成功をおさめ現状、約1700店舗がPayPayモールに出店中。「PayPay」からの送客の一本化による効率化などのほか、目的をある程度、達したことなどもあり、再統合を決めたようだ。

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