通販実施企業にとっても年末の一大商戦である”おせち商戦”が早くもスタートした。今年のおせち商戦について、主な通販実施企業や百貨店らの今年のおせち商戦の動向についてみていく。
楽天の仮想モール「楽天市場」では、昨年度約３万点のおせちを扱っており、流通額は１９年～２１年の２年間で約１・６倍に伸びているという。おせちの予約・購入時期は、年々早期化傾向にあり、今年に関しては早期のおせちの流通額が前年同期比１・２倍以上（２０２１年８月１９日～８月３１日と、２２年８月１９日～８月３１日のおせち関連商品の流通額を比較）と、需要の早期化がさらに進んでいる。
「楽天市場」では、８月１９日より早期予約に対応する専用ページ「楽天市場 おせち特集２０２３ 早割など早期特典も」を開設。同ページでは、おせち選びに失敗したくないというユーザーのニーズに対応し、低価格・少量の「おためしおせち」を紹介するほか、昨年の高評価おせちや有名料亭や有名人が監修したおせちなど早期の予約・販売可能なおせち関連商品を紹介している。また、初の取り組みとして「超早割クーポン」を配布、好評という。
同社提供の同モールにおける７月１日～９月５日の売り上げを集計したランキングによると、１位は「博多久松」が販売する「和洋折衷本格料亭おせち『博多』≪特大８寸×３段重・おせち全４６品・４～５人前≫」（価格は１万５８００円）。２位は「おもてなし参道」の「和風おせち料理 割烹料亭千賀監修『おもてなし』全５８品 ８・５寸 ４～５人前 ３段重」（同１万５８００円）、３位は「板前魂」の「『板前魂の花籠』 おせち 和洋風 三段重【３２品 ３人前 お節】」（同９４８０円）となっている。また、１０月３日に公開予定の「楽天市場 おせち特集２０２３」では、定番の「高級おせち」や「和洋折衷おせち」のほか、手作りのおせちと市販品を組み合わせたいというニーズに対応した、栗きんとんや数の子などの「単品おせち」や「スイーツおせち」など、さまざまなニーズに対応する関連商品を紹介する予定。
アマゾンジャパンは９月１日から、運営する通販サイト内におせちの特集ページ「おせち料理特集２０２３」を開設して、おせちの予約販売を開始した。同９日からは和洋折衷の食材を４６品詰め込んだ「博多久松 和洋折衷本格料亭おせち博多特大８寸３段重全４６品」（税込１万５８００円）など対象のおせちの早期注文者に独自ポイント「Ａｍａｚｏｎポイント」を付与する取り組みを実施。毎年実施している施策だが今回から価格帯別に付与するポイントを変えることとし、同９日から１０月８日までに税込１万５０００円以上のおせちの予約申し込み者には５０００ポイント、同２万円以上には７０００ポイント、同２万５０００円以上には１万ポイントを付与するようにした。
アマゾンの「おせち料理特集２０２３」ではこのほか、比較的価格を抑えた家計にやさしいおせち「【お試しおせち】『田中屋』監修おせち華ぎんざ［６寸三段和風おせち３５品目約３人前］」（同７８００円）、減塩おせち「京都『洙樂庵』減塩おせち 三段重 ３２品目 和風 約３人前冷凍」（税込１万４０４０円）、回転ずし「くら寿司」の２０００円分の食事券付きの二段重のおせち「くら寿司 特製おせち二段重お食事券２０００円分付き和洋風３～４人前２９品目四大添加物無添加」（同１万７０００円）などを販売する。
オイシックス・ラ・大地のおせちは、ＳＮＳへ投稿しやすいように盛り付けなどを自分好みにできる”スタイルおせち”を新作として提供している。また、近年増えている単身や２人暮らし世帯向けおせちで、好きなタイミングに食べることができる商品も用意した。
宅配サービス「オイシックス」が販売するおせちの「宝華」（２人前、２２品目、２段）は、定番のおせちを元旦用に、それ以外の料理は大晦日から少しずつ自由に食べるという状況を受けて商品化。定番料理は重に詰め、それ以外の料理は自分好みに食べ方や盛り付けを演出できるように、取り出し可能な小皿で提供する。自宅の気に入っている皿にそのまま載せたり、皿の上に取り分けたりできるようにしている。販売価格は税・送料込み１万４９０４円（９月３０日までの超早割価格は同１万３７１２円）。
宅配サービス「大地を守る会」のおせち「銘々重」（１人前・１８品目・１段）は、１人・２人暮らしの家庭向けの新作。自分の好きなタイミングでおせちを楽しみたい、また、コロナ禍で「取り分けが必要ない１人用おせち料理」という要望を捉えたものとしている。家庭用としてだけでなく、お客へのおもてなし用などにも向いたおせちという。販売価格は税・送料込み９３９６円、２個セットの場合は同１万６９１２円。
宅配サービス「らでぃっしゅぼーや」の「上慶福」（２～３人前・３１品目・３段）は、和洋の料理を３段に盛り込んでいる。一の重は縁起物、二の重はオイル蒸しなど洋の料理、三の重は和の焼き物と人気のローストビーフなどが入っている。価格は税・送料込み２万１３８４円（９月３日までの超早割価格は同１万８２５２円）。
なお、年末などの予定が決まっておらず、仮に予定が変更になった場合、無料でのキャンセルに対応する（「オイシックス」１１月３０日まで、「大地を守る会」１２月１２日まで、「らでぃっしゅぼーや」１２月４日まで）。
ベルーナのグルメ専門通販「ベルーナグルメ」は、１０年連続でおせち料理売り上げ１位の「ベルーナオリジナルおせち 結（和三段重）」を刷新、先行予約をウェブサイトで開始した。過去全４１種類だった献立を、今年は４種類増加。彩りや食べ応えにも配慮した「鶏肉三色巻」や、酒のつまみにもぴったりな「いか梅ジュレ和え」、３種の「麩旨煮」などが新たに加わった。また、スタッフが５０００枚を超える顧客アンケート全てに目を通し、検証会を実施。好評の献立はそのままに、ブラッシュアップが必要なものは新献立への差し替えや刷新を行った。
価格は１万８００円、１０月４日までに申し込んだ場合は１万２６０円。また、早期予約特典として１１月２１日までの受注分は紅白だんごをプレゼントする。原材料高騰はあるが、価格は据え置きで提供している。なお、ベルーナグルメにおける、おせち料理の受注は、前年同時期と比較して約３０％増。既存顧客を中心に注文が来ている状況だという。
ＤＩＮＯＳ ＣＯＲＰＯＲＡＴＩＯＮ（＝ディノス）は８月２３日から運営する通販サイトでおせちの予約販売を開始した。おせちの本格販売に先がけて特集ページ「ディノスのおせち２０２３」を開設。販促策として１１月７日まで伊勢海老や煮鮑、ローストビーフなど５１品を詰め込んだ三段重の「ディノスオリジナル ５１周年記念おせち」（税込２万９８００円）や黒門市場の老舗「魚まん」と共同企画した中剥き海老、近江牛しぐれ煮笹包み、黒糖ローストポーク、たたきごぼう、田作り３５品を入れた「ディノス推奨 おもてなしおせち」（税込１万８００円＝二組・同１万９９０円＝三組）など先行販売する５品を１割引とする「おせち早期割引１０％ＯＦＦクーポン」を配布している。
なお、９月２２日からはおせちの本格販売を開始する予定でオリジナルおせちのほか、有名飲食店の人気おせちなど、様々なおせちを追加するとしている。
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高島屋は、「おせち＝家族が集う正月のコミュニケーションツール」ととらえ、食生活の多様化に対応したバラエティ豊かなおせちを提案する同社では店頭で約９００種類、オンラインストアでは約１１５０種類を用意。今年は自分だけのオリジナルが作れるカスタマイズおせちや、パティスリーおせちなどの”進化系おせち”のラインアップを強化する。
通販チャネル限定で展開するのが、カスタマイズおせちの「よりどり彩りおせち」で、３０品目の中から好きなもの、食べたいものを自由に１２品選んで中身を決めることができる”ワガママおせち”だ。同じ商品を何点選んでもよく、商品価格は選んだ１２品の合計金額となる。また、通販限定では「鉄道で日本を旅するおせち 二段重」（税込２万９１６０円）や「ペットと一緒にお正月を祝うおせち」（同１万６９５６円）などを提案する。
前者は全国の郷土料理や名産品を盛り込んだ５０マスの華やかなおせちで、付属の鉄道カードゲームを楽しみながら、楽しい旅気分を満喫できるという。後者はペット用の料理を詰め合わせ、ペットと一緒に楽しめるおせちだ。おせち料理３７品目に、ペット用の５品を詰め合わせたほか、ペット用のサプリメントウォーターのボトル付きとなる。
東武百貨店のおせちは、オリジナル商材を昨年より３割増やしたほか、ＥＣでは冷蔵・冷凍おせちとオードブルを充実させた。
オリジナルでは、今春に初開催した催事「４７都道府県にっぽんのグルメショー」が好評だったことを受け、正月も自宅に居ながら旅行気分を味わえる、４７都道府県の味を詰めた和風二段重のおせち（税込２万９１６０円）を提案する。また、コロナ禍で帰省を控えて実家におせちを贈る人が増えたため、オンラインストアでは冷蔵・冷凍おせちが一昨年から昨年で約３割伸長したことを受け、需要拡大に合わせて品ぞろえを拡充するという。