ステマ規制の「運用基準」に事業者の不満が蓄積――社会的影響大きく混乱も

 ステルスマーケティング規制が導入される。これまで景品表示法は、広告に「優良・有利誤認」がある場合、つまり〝中身〟を判断されてきた。だが、ステマ規制は、広告を〝隠す行為〟そのものを規制するもの。それだけに、措置命令のハードルは下がる可能性ある。消費者庁は、事業者の予見性確保を目的に問題事例を具体的に示す「運用基準」を策定する。ただ、その内容に事業者の不満が蓄積している。規制は、多様な売り系に広く網をかける「包括的規制」。そのために、事業者の予見性確保を目的に示すガイドラインの「問題事例」も抽象的であるためだ。

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措置命令のハードル下がる可能性

 ステマ規制は22年4月、自民党・消費者問題調査会で、景品表示法に基づく対応を求める提言が示された。同9月に「景品表示法検討会」から独立して検討会を設置。ハイペースで計8回の会合を終え、12月、報告書をまとめた。告示への指定は来年度を想定していたが、河野太郎大臣が22年度内の前倒しを指示。早ければ、今秋にも規制がスタートする。

 そもそも、ステマ規制は当初から一般紙で「指定告示」を念頭に置いた規制であることが報じられ、消費者庁は規制ありきの〝決め打ち〟を否定したが、結果は告示規制。草案の段階でパブリックコメントの募集を並行して開始するなど、必要なプロセスを駆け足でさばきつつ、規制ありきで進んだ。

 ステマ規制は、これまでの景表法規制と大きく性質を異にする。従来、景表法は広告の「優良・有利誤認」、商品の品質や性能、取引条件など
〝中身〟を評価し執行してきた。だが、ステマ規制は、優良・有利性を問わず、広告であることを〝隠す行為〟それ自体を規制する。その意味で、措置命令のハードルは著しく下がる可能性がある。「調査過程において、優良性の評価が難しい事案でも、ステマであれば措置命令できる」(公取OB)からだ。違反の構成要件がシンプルであるだけでなく、制裁効果は強力だ。

貧弱な立法根拠も印象論で進む規制

 これほど影響の大きい規制であるにも関わらず、立法根拠は貧弱だ。ステマについて、国民生活センターに寄せられた相談件数は、5年間でわずか40件。消費者庁が検討会で示した根拠も、ステマをめぐる学術研究、「ステマの活用により売り上げが20%上がった」などとする事業者からのヒアリング結果、インフルエンサーの5割が「悪いこと」と認識しているとの印象を示す調査だけだ。

 相談件数の少なさについては、「消費者がステマと認識していないためそもそも相談として挙がってこない」と、消費者サイドの規制推進派は、都合のよい理由づけをする。これまで相談件数に依拠して数々の提言を行ってきた国セン自身も「ステマと認識していないために相談が少ない」(23年2月開催の公聴会で)などと、今回に限っては、件数の信頼性を自ら否定する。

 「売り上げ20%アップ」というヒアリング結果も不可解だ。というのも、従来の広告と比較評価したものでないためだ。同一の商品で、ステマでない通常の広告であれば、売り上げは50%アップしていたかもしれない。消費者庁が運用する機能性表示食品制度では、商品の機能性評価について、医薬品レベルの評価試験で妥当性の確認が要求される。にもかかわらず、自らが規制導入の根拠とするのは、いわばヒアリングを行った代理店の〝体験談〟ともいえるものだ。これでは、事業者の理解を得られないのも当然だろう。消費者被害の実態は示されず、規制を急ぐ理由は不明だ。

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