コスメ通販サイト「プレコハウス」を運営するプレコハウスは、auコマース&ライフ(=auCL)が運営する仮想モール「auPAYマーケット」の優秀出店者を表彰する「ベストショップアワード2022」において総合賞8位に入賞した。
モール担当の白藤氏は、「受賞店舗で利用できるクーポンの反響が大きく、予定枚数に達して早期終了となった。クーポン利用期間中に流通総額100万円を達成。全受賞店舗の中でも上位に入る利用率で手ごたえを感じたが、拡大余地はまだある。来年は総合賞3位以内を目指す」と語る。
プレコハウスは1999年創業。並行輸入のブランドコスメやヘアケアなどの美容関連商材を低価格で販売している。
同社の強みはSNS施策にあるという。代表取締役の安本亮輔氏が運用するSNSアカウントの総フォロワー数は約1万人で、セールやクーポン配布などのお得情報をこまめに発信。丁寧なコメント対応などで親近感を醸成し、「顔の見える店づくり」を徹底し、ネット通販に抵抗感をもつ層の獲得にも成功しているという。
「リピート率は約4割と平均値より高く、ロイヤルカスタマー化すると販売価格が競合他社を少し上回っても当社を選んでくださる傾向にある」(白藤氏)という。
独自企画も好調。毎年2月5日に各モールで開催する「プレコの日」は、対象商品を1点205円で限定販売する施策で、6回目となる今年は合計200万PVを獲得。ツイッターではゴールデンタイムに『プレコの日』がトレンド入りするなど注目を集め、主要モールでは開始2分以内に予定数を完売した。また、4月には初の施策としてブランド化粧水のミニサイズを1本50円で販売。想定以上の売れ行きで販売数は数千個に上り、まとめ買いの誘導にもつながったという。
課題は客単価増
前期売上高は約48億円で前年比は横ばい。コロナ禍の需要拡大により伸長した売上規模を堅調に維持しているが、資材費や物流費の高騰に加え、ヤフーショッピングが昨年8月から実装した「優良配送」により、一部遠方エリアで検索表示から外れることによる機会損失も痛手だという。対策の一環として新たにショップリストに出店し、計9つのモールで事業を展開。販路拡大で売上の底上げを図る。また、為替の変動には国内の取引先を含め仕入れ割合を調整して対応しているという。
「当社は少数精鋭でバックエンド業務を全て内製化しているため、現状ではコスト上昇分を何とか吸収できている。配送業務も長年の蓄積でオペレーションが最適化されている。繁忙期は1日3~4000件の注文を扱い、自社で梱包から発送まで行う。出荷速度が速く、ミスやトラブルがほとんど発生しない点も強み」(白藤氏)。
課題は客単価の引き上げ。楽天市場が「送料無料ライン」を導入した影響などでヤフーショッピングの送料無料ラインを税込5500円に引き下げた結果、客単価は数年前と比較して3割減の約5000円に減少。今後は多彩なクーポン配布や独自企画の拡充などでまとめ買いの需要喚起を図る。合わせて自社ECを刷新し、顧客データ活用による販促強化にも注力する考え。