DHC創業者新設の通販会社・大和心〝、打倒アマゾン〟意識か――9月に物流拠点が完成へ

 ディーエイチシー(=DHC)創業者の吉田嘉明氏が設立した新会社、大和心が事業展開に向けた準備を着実に進めている。今年9月をめどに、物流拠点の完成を予定。その規模は、立ち上げ当初からホームセンターやGMS並みの商品在庫に対応できるものだ。今年7月には、折り込みチラシで数百人規模の新規人材を募集。立ち上げる通販事業は、業界を席捲する〝打倒アマゾン〟を意識していると思われる。

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自らの近況、趣味を紹介

 人材募集では、チラシに大きく吉田会長自身の顔写真を掲載し、強烈なインパクトを残す。事業立ち上げの背景、自らの略歴、趣味に至るまで詳細に紹介している。

 これによると、𠮷田会長は現在、82歳。配偶者の女性(49歳)とは、DHC時代、ライフサイエンス事業部の課長をしていた時に出会い、結婚したという。

吉田会長の近影(日本経済新聞に折り込まれた人材募集のチラシ)

 近況については、「特殊団体や偏向メディアとの争い」(チラシより)を原因とする精神的疲労から腎臓を壊したとし、22年3月、配偶者の女性から緊急の腎臓移植を決行したと明かしている。自らの余生を5年と考え、将来的に配偶者を代表取締役会長に、優良なスタッフを代表取締役社長にする予定で、現状、新会社の会長と社長を兼務しているという。

 趣味は、愛犬、ラブラドールのケアや庭いじり、美術品・日本刀の収集、プロレス観戦、麻雀だという。これまでメディアへの露出が極端に少なく、ベールに包まれていた吉田会長の人物像が窺える貴重な情報だ。

自動倉庫によるスピード配送を実現

  事業立ち上げの理由について、チラシでは、通販の課題を「商品配送のスピード」と「資金力のなさに起因する委託販売・返品ありのシステム」と指摘する。一般的に商品配送に1~2週間を要するとして「これでは売れません。多少売れたとしてもメーカー側の資金繰りが大変」と説明。昨今のビジネスに対しても、消費者を惑わせるビジネスが蔓延しているとして「毎日半額で格安販売」、「抽選で1万名様に無料配布」などのうたい文句で売られているものの「みんな信用できない」、「最初から適正価格で売れよ!と言いたい」と主張を展開している。

 新会社は、〝誠実な優良メーカー〟との取引を消費者に約束。配送スピードと購入の安心感を売りにする。これを支える物流拠点(千葉県流山市)は、今年9月に完成の予定。AutoStor(e=オートストア、ノルウェー)の全自動配送システムを採用しており、延床面積約2万9000平方メートル、10万SKUを同時に処理できるロボットを導入した自動倉庫によるスピード配送を実現する〝高速総合通販事業〟。「完全オーナー企業。サラリーマン社長ではないため、フルスピードで他社の10倍の速さで成長していくものとみています」としている。

「一流メーカーが続々と訪問」

 人材募集は、営業やウェブデザイナー、オペレーターなど12職種。𠮷田会長の身辺警備、護衛を行う「警備隊」の募集も行っている。管理職(係長、課長、次長、部長)は、1125~2910万円の待遇で募集。「少数精鋭、好待遇もモットー」にしているという。募集人材は、「頭の良い人、真面目な人、体力抜群の人、一芸に秀でた人、上品な家庭に育った人、そして何よりも日本のために尽くしたい人」とする。

 現状の従業員数は数十人。平均月給は約82万人、平均年収は年間賞与5カ月で約1324万円という。

 大和心は22年7月、資本金10億円の設立準備室を立ち上げた。今年1月、資本金30億円に増資。同3月には、資本金を300億円に増資して大和心に移行している。準備室の設立当初、化粧品やサプリメント、食品、雑貨など幅広い商品のECを行うとしていた。

 今年5月には、入居する住友不動産虎ノ門タワー(東京都港区)の20階から、34階(最上階)と32階全フロア(延床面積600坪)に移転している。事業の進捗については、「わが社のシステムを採用したいと希望される日本の一流メーカーの方々が続々と本社を訪問している」と紹介している。

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