ファーストリテイリングでは、中国におけるEC事業が右肩上がりで拡大している。中でもライブコマースによる販売が好調となり、EC事業全体の約2割を占めるまでに成長した。
同社の直近の今第3四半期(9~5月)における実店舗も含めた「グレーターチャイナ(中国大陸市場)」事業については、消費意欲の低迷や天候不順などを受けて減収減益となった。特にリアルの売り場では、前年度の反動減があったほか、現地のショッピングモール同士の競争が激しくなり、モールごとの集客力に格差が発生。集客ができていない実店舗が150店舗程度あることで、1店舗当たりの月商が低調に推移したことも一因となったという。
しかし、ECだけを見ると、中国の大型商戦期である「W11(独身の日)」や「618商戦」ともに、アリババが運営する大手仮想モールの「Tモール」においてアパレルでの売り上げ1位を獲得するなど、対照的に好調に推移。第3四半期の3カ月間では前年同期比で2桁の増収となっている。
また、ネットでの新たな販売チャネルとして中国版の「Tiktok」を活用したことで情報発信の施策が奏功。618商戦では、中国版Tiktok経由の売り上げが前年比で約3割増になったという。
さらに、ライブ配信で実店舗のスタッフが商品を紹介して、動画配信の画面から直接購入することができる「Live Station(ライブステーション)」が好調に推移。ここでの売上高は前年比50%の増収となり、中国でのEC全体の約2割を占めるまでに成長した。ユニクロのオンライン会員数で見ても8000万人弱となるなど、この4年間で倍増しており、EC事業自体は順調に拡大している。
同社によると、コロナ以降は、中国大陸の顧客マインドが大きく変化しており、商品やサービスを選別する目が非常に厳しくなったという。「コスパ消費」が若者世代で顕著になっているほか、「平替(ピンティ)」と呼ばれる、ブランド品ではなく、品質がそれほど変わらない、より安い商品を選ぶ傾向が新たな価値観として急速に広まっているとする。
現在、現地でのユニクロのシェアはまだ2%以下となっており、まだまだ成長余地があることから、引き続き中国大陸をグループの成長の柱と位置付けて事業拡大を進めていく考え。