「企業視点から、顧客視点でのリニューアルを実施した」――。カクヤスが10月に刷新したアプリが好調だ。ユーザー視点での見直しにより、レスポンス速度や操作性を向上。初回購入者の購買率が1.8倍に伸長した。今後EC売上比率をこれまでの約3割から5割まで高める。
アプリの刷新では、注文画面のわかりやすさを改善した。希望する配達時間を選択した後に商品を選べる導線とし、買い物かごでの離脱を抑制した。これまで商品選択後に配達可能時間を表示しており、ユーザーにとって欲しい時間に必要な商品を配達してもらえず離脱の要因になっていた。
トップ画面に「再購入」ボタンを設け、簡単に購入履歴から商品を選べるようにした。70%以上が同じ商品をリピート購入していることを踏まえて、使いやすさを向上。あらかじめ冷やした商品の配達に対応するサービス「冷やし」は、ニーズに応じて選べるオプションに見直した。
さらにレスポンス速度を従来から8.5倍に向上した。データベースやシステムを見直して、ログイン画面への遷移をスムーズにした。
刷新のきっかけは、アプリ配信サービス「アップストア」での評価だった。「機能が多い」「使いにくい」などのコメントが多く低評価だった。他の買い物アプリと比べ初回購入者の購買率は60%にとどまり、アプリの利用率は40%と低く「機会損失が発生していた」(同)とした。
刷新を決めたのは、スマホやタブレットの端末上に買い物の導線を設けることができるアプリの特性に着目。刷新にあたっては「高頻度で多品目を購入してほしい」(同)とし、顧客の購買行動やふるまい、滞在時間などを徹底検証した。ユーザーの実際の利用を録画モニターし、使いにくい原因や離脱理由、ニーズを検証した。
「これまでは1時間ごとの時間指定、送料無料、冷やして配達も可能など他社にはないユニークなサービスの特徴を訴求した企業視点のアプリだった。顧客視点のアプリへ改めた」(同)という。
刷新後は「アップストア」の評価が1.8から4.7に向上した。「1回ごとの買い物の価値を高め、納得して満足してもらってLTV向上につなげる」と強調する。
11月27日に、刷新したアプリの認知度向上を図り発表会を開催した。お笑い芸人のカンニング竹山さんと、髭男爵のひぐち君さんが登壇した。カクヤスでのアルバイト経験があるという竹山さんは実際にアプリを操作して「1時間ごとに届くんだ!安くなっている商品もわかり楽しい」と感想を述べた。ひぐち君さんは事前にアプリで注文したワインやつまみ、氷、ティッシュなどを受け取り、「ワインを飲んでほしい。冷えている」とアピールした。