スーツなどのアパレルを展開するタカキュー(東京都板橋区)は8月、EC展開する新アパレルブランドを発売する。30代をターゲットに、ECで売れるデザインや価格帯を重視して商品を企画した。購入しやすい価格帯と、素材感の良さで価格以上の満足度を追求。売れ筋商品は2週間で追加生産できる体制を整え、販売数量を伸ばしていく。売上高は年間3億円を計画する。
立ち上げたのは「DRAW(ドロー)」(=写真)。カジュアルやモードなどのテイストで、コートやアウター、ニット、パンツ、カットソーなど100型を展開。メンズ、レディースのほかユニセックスアイテムも取り扱う。このほかバッグ17~18型を展開する。
ブランドを担当したのは伊藤健治社長。昨年5月に入社し、9月に社長に就任。これまで「コムサ・デ・モード」などを展開するファイブフォックスでデザイナーを務め自身のブランドも手掛けてきた。DRAWについて、「素材選びと工場の選定に、これまでの経験とノウハウを生かした」(伊藤社長)と話す。
カラー展開はブラックやホワイト、グレーベージュなどのベーシックカラーを軸に、シーズンごとのトレンドカラーを追加する。性別を問わず着用できる定番のデザインや季節やトレンドに合わせたデザイン、自由なスタイルを提案するデザインをコレクションする。手持ちの服に合わせやすいことも特長になっているという。
また、国内外のデザイナーやディレクターとコラボしたアイテムもラインアップした。
価格はコートが1万5000~2000円、アウターは1万~1万4000円。ドローコード付きのリバーシブルのブルゾンは9900円。
ファッションECサイト「ゾゾタウン」での販売から開始する。「ゾゾタウン」の前年の売れ筋商品を、アイテムごとに分析。これを参考に、価格を設定したという。購入しやすい価格帯と、価格以上の品質に見えるディテールや素材を提案し、30代男女との顧客接点を増やす。
「ゾゾタウン」は品番を絞り在庫を積む売り場の特長があるといわれる。このため同社では、売れ筋アイテムを2週間で追加生産できる体制を整える。スピーディな生産で購買機会のロス削減につなげる。
商品画像はカメラマンが撮影したものを採用。生地の立体感や陰影でディテールや素材感などの世界観を訴求していく。「ヒット商品として10~15品番を成長させたい。初年度となる8~2月の売上高は2億円弱を見込む」(伊藤社長)という。
紳士服ブランド「タカキュー」は40~50代を中心に顧客基盤を構築しており、20代など若年層との接点がなかった。スーツの需要低下が深刻化する中で、新規顧客の拡大が課題になっていた。新ブランドの提案を通じて「スーツからファッションまでを網羅する」(伊藤社長)と話す。今後、販売動向を踏まえて自社通販サイト「タカキューオンラインショップ」や、展開する実店舗での販売も検討したい考え。