通販専業は売上トップ10に2社ーーファッション通販の市場分析

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大手アパレルのM&Aが活発化ゾゾは取扱高で6660億円に拡大

 

 カタログや新聞、テレビなどに売り場を持つ総合系通販はダウントレンドが続いている。通販会社としては毎年トップで、全体で6位となったベルーナの2026年3月期は、原材料・資材価格の高止まりを受けて仕入れ原価が上昇する中、ダイレクトメール配送費の値上げもあり、収益性を重視し広告宣伝費の抑制を図った。さらに、不採算事業だったファッションECモール「リュリュモール」を25年3月末に、インポートブランド品の通販サイト「インポートコレクションYR」を同年10月に終了したことなどでファッションカテゴリーは減収となった。

 千趣会の25年12月期は、再生計画に基づいてターゲットを明確化した世代別事業ドメインへの再編や、不採算商品の改廃を進めるとともに、カタログ起点からECを主戦場としたビジネスモデルへの転換などを推進。構造改革に伴ってファッション商材の売り上げも落とした。同社はカタログの再編も実施し、60代以上の女性に向けてはファッションと暮らしの提案カタログ「イロドリスタイル」を、アラウンド50向けには「ベルメゾンファッション」を刷新した「フフマガジン」をそれぞれ25年10月にスタートした。

 一方、高島屋の26年2月期は、編集力の強化に加え、卸販売とECモールの活用などもあってファッションの売り上げもプラスに転じた。カタログを読み物として楽しめるようにするため、朝日新聞出版の協力を得て、核となる特集企画の趣旨を説明して仕上がり見本を出してもらい、グループ会社のエー・ティ・エーが誌面を作成する形に変えた。また、オリジナルのファッションブランド「スタイル・プリュ」は、生協やQVCへの卸が伸びているほか、グループの衣料品通販サイトでの販売も好調だった。

 テレビ通販については、通販専門放送大手のジュピターショップチャンネルが7位、QVCジャパンが12位だった。両社とも売上高の3割程度を衣料品およびジュエリーなどのファッション商材が占めていると見られる。

 ショップチャンネルは、番組演出面の工夫による訴求力アップや特別編成番組の拡充のほか、アプリ機能の強化やウェブサイト上で展開するブランド担当者や社員がファッションコーディネートを提案する施策の強化などの拡販策によって主力の衣料品などが伸び、全社でも2年連続で過去最高売り上げを更新した。

 衣料品がメインの通販企業については、フェリシモは主力の定期便事業において、ウェブ上でのエンゲージメント強化のため、新コンテンツの追加や売り場のリッチ化を図ったほか、大阪・関西万博出店などリアル店舗の業態開発を積極的に展開したが、顧客獲得数が想定を下回った。購入単価は残暑や低価格帯の商品による顧客獲得が伸長した影響もあって下期は苦戦したものの、ファッションの主力ブランドが年間を通じて好調に推移したため、平均購入単価は増加した。

服をECで買う層の裾野拡大

 ファッション専業のECモールについては、消費者のEC利用が定着する中、圧倒的な規模を誇るゾゾを中心に各社とも売り上げを伸ばしたと見られる。数値非公開のため別表には掲載していないが、楽天の「楽天ファッション」やアマゾンの「アマゾンファッション」がテレビCM、ウェブ広告、SNSなどを通じた露出を強めており、ECチャネルでファッションアイテムを購入する層の裾野拡大に寄与している。

 表は決算会計上の売上高(※丸井は取扱高)で、商品取扱高ベースでは、ゾゾの26年3月期は前年比8.4%増の6660億円で断トツとなる。

 ゾゾの前期は、とくに第4四半期(1~3月)がウェブ広告の強化などから集客が好調に推移し、セール在庫も潤沢だったことから冬の本セール販売が伸長。商品取扱高は第3四半期累計期間(4~12月)における不足分を補う成長を実現し、ゾゾタウン事業とLINEヤフーコマースの合算では計画を上回ったものの、25年4月に完全子会社した英LYST社が欧米市場を中心としたラグジュアリー業界の不調や米関税制度の変更などから計画を下回り、全体では計画値に若干届かなかった。

 同社では、セールイベント「ゾゾウィーク」や夏と冬の本セールおよびブラックフライデー期間にテレビCMを放送して集客強化を図ったほか、コスメを含めた品ぞろえの拡充を進めたことなどで取扱高を伸ばした。ゾゾタウン本店の年間購入者数は1317万人、アクティブ会員数は1248万人に拡大した。また、ゾゾタウンヤフー店などのLINEヤフーコマース事業の取扱高は、LINEヤフーによる「本気のZOZO祭」などの販促費投下もあって前年比13.4%増の約789億円に拡大。グループの総合力が生きた。

 丸井の26年3月期のECビジネスは、実店舗と連動したイベント型ECを強化。リアル店舗と同様に非ファッション分野がけん引したほか、「マルイ楽天市場店」など外部ECモール経由の売り上げが順調で、ECチャネル全体でプラス成長を維持した。

 靴とファッションの「ロコンド」を運営するジェイドグループの26年2月期は、マガシーク社のブランド自社EC受託事業の解約影響で取扱高は前年比8.9%減の459億円となったが、ロイヤルの買収効果もあって売上高は微増で着地した。また、構造改革およびPMI(買収後の統合プロセス)によるコストシナジーなどが貢献し、営業利益は過去最高となった。

 PMIについては、物流とITの統合に加え、事業の選択と集中を推進。マガシーク社は統合プロセスが順調に進行しコストシナジーが顕在化。グループ全体の収益基盤強化に大きく貢献した。ARIGATOの「サンキュ!」は投資回収が半年で完了。通期で安定的な高収益を創出し、利益成長をけん引した。また、ロイヤルもM&A初月から黒字化を達成し、グループ入り直後から通期実績へのプラス寄与を実現した。

有店舗アパレルの力強さ戻る

 有店舗アパレル各社については、コロナ明け以降、実店舗の回復に伴ってECチャネルの成長率が鈍化する企業も散見されたが、前期はOMO戦略の強化やECへの投入在庫拡大などを背景にEC事業も力強さが戻りつつある。ただ、有力企業であっても大型のM&AによってEC売上高が伸びている側面もあり、伸長率だけではEC事業の実力を測りづらい。一方、自社ECの運営方法については展開するブランドごとに売り場を分けるのではなく、一つのサイトで販売することで買い回りを促すモール型が主流になっている。

 ファッション通販売上高ランキングでトップを独走するユニクロの25年8月期のEC売上高は2ケタ増と好調だった。気温に合わせて戦略的に商品を準備し、マーケティングの打ち出しと連動したことで実需を獲得した。
加えて、スウェットやストレートジーンズなど、コア商品に今のシルエットやデザインを反映したことで新しい需要を喚起し、売り上げに貢献した。

 全体で2位のアンドエスティHDの26年2月期は、外部ECモール経由を含めたECチャネルが年間を通じて順調に推移した。同社は自社EC「アンドエスティ」で外部ブランドを扱うオープン化を推進しており、前期における「アンドエスティ」の取扱高は前年比14.8%増の462億円で、このうち自社グループ販売は前年比6.6%増の417億円、グループ外の販売は同301.6%増の45億円となり、グループ外の構成比は9.7%まで伸ばした。

アンドエスティは店頭スタッフによるスタイリングコンテンツが人気だ
3位まで順位を上げた好調パルの自社通販サイト「パルクローゼット」

 全体3位まで順位を上げたパルの26年2月期は、自社ECおよび外部ECモール経由の売り上げが順調に拡大した。自社ECについては、SNSの総フォロワー数が2450万人超に拡大した社員インフルエンサーのSNSアカウントから積極的な発信を継続的に行い、顧客の反応をMD施策に活かすウェブプロモーション活動が、ECと実店舗の売り上げに貢献している。また、店頭でのアプリダウンロードの呼びかけを徹底。前期末時点でアプリ会員数は1355万人に伸び、アプリ経由売り上げは自社EC売上高の3分の2程度まで高まった。

 全体で4位のオンワードホールディングスの26年2月期における国内EC売上高は好調を維持した。自社EC比率が約78%と高水準で推移。自社通販サイト「オンワード・クローゼット」で扱う商品を実店舗で試着できる取り寄せサービス「クリック&トライ」を軸にしたOMO戦略の推進や、24年9月に完全子会社化したウィゴーもEC拡大に貢献した。また、前期はAI活用も進展。機能・サービス面ではレコメンドやチャット対応などでAIを活用。業務効率化の面では、ささげ業務用のAIをグーグルとの共同プロジェクトで開発し、作業時間の短縮やミス防止につなげているほか、画像生成AIの活用も始めた。

 ユナイテッドアローズの26年3月期は、ECチャネルへの積極的な在庫投入を実施。25年4月に商品管理の新基幹システムが稼働を開始したことで、実店舗とECチャネルへの在庫配分の精度が向上し、販売機会ロスの低減につなげた。

モール型にサイト刷新

 TSIホールディングスの26年2月期は、25年9月にグループ入りしたデイトナ・インターナショナルが自社EC、外部ECモールともに大きく貢献。国内EC売上高は30%を超える伸びとなった。自社ECについては、25年2月に既存の自社EC13サイトと会員サービスを統合して新生「ミックスドットトウキョウ」として始動した。前期は会員移行の遅れが影響したが、「ミックスドット」の売上高はメンズブランドの伸長も寄与して回復基調にある。

TSIも「ミックスドットトウキョウ」をモール化し、顧客開拓に力を注ぐ
TSIも「ミックスドットトウキョウ」をモール化し、顧客開拓に力を注ぐ
しまむらはオンラインストアを統合してモール型の「しまむらパーク」をスタートした

 しまむらの26年2月期におけるEC事業は好調を維持した。同社は25年10月に4事業で展開していたオンラインストアを統合するとともに、新たにディバロ事業を加えてモール型の自社EC「しまむらパーク」として刷新した。同じカート内で複数事業の商品を購入できるようにした結果、集客力が高まり、サイト訪問者数はサイト刷新前の約3倍、売上高は同58.2%増となり、大きな成果が出ている。

 また、オンラインストアでは「店舗受取サービス」の利用率が引き続き高水準で推移したことで、ECの成長に加えて実店舗への送客による「合わせ買い」の創出など、オンラインとオフラインの相乗効果が高まった。

有力EC店舗が相次ぎ倒産

 25年のファッション通販市場の動向で外せないのが、ECモールで人気の店舗が経営難から破産や民事再生を申請するケースが相次いで同業者の関心を集め、M&Aによって再建に向けた動きが活発化したことだ。

 靴がメインの通販サイト「ゼットクラフト」を運営するロイヤルは、25年5月に民事再生法の適用を申請。同社は楽天市場の優秀店舗を表彰する「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2023」で総合4位に入るなど実績は十分。しかし、並行輸入品を仕入れるため円安によるコスト増や、物流センターの不動産取得などによる借入金負担などで自力再生を断念。再生支援を申し出たのはジェイドグループで、25年12月に子会社化している。

 また、25年4月に破産したファッション通販サイト「イーザッカマニアストアーズ」を運営するズーティーも楽天市場の人気店だった。ズーティー支援に名乗りを上げたのは老舗アパレルのフジスターで、同社は24年6月に「イーザッカ」のライバル店でもある「神戸レタス」を運営するマキシムを買収している。マキシムの業績が回復傾向にある中、競合店の取得でシナジー効果が見込めると判断。「イーザッカ」の運営会社として新たに株式会社ズーティーを設立し、25年10月に楽天市場店を再開した。

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