楽天は中国での仮想モール事業から撤退する。4月20日、中国検索最大手の百度(バイドゥ)と共同で展開していた中国版楽天市場の「楽酷天(らくてん)」を5月末で閉鎖すると発表。中国国内におけるネット販売の競争が激化したことで収益面が当初計画を下回り、抜本的な改善は困難と判断した。トラベル事業やシステム開発事業などの仮想モール事業以外は継続する。中国でのネット販売の再挑戦については「より良い方法を模索していく」(楽天)としている。
楽天は2010年10月に中国版楽天市場となる「楽酷天」を開設。開設時は中国の事業者を中心に約2000店舗が出店し、家具や家電、アパレル、ベビー用品、化粧品などを販売。一部、現地法人を持つ日本企業やヨーロッパ系の有名ブランドも出店している。
楽天は4月27日に「楽酷天」上での受注やポイントの利用を終了。5月末までに商品の発送や店舗向けの管理画面などすべての業務を終了させる予定。
サービス終了の理由としては「類似の通販サイトの参入が増え過当競争になっていた」(同)としており、EC事業への投資熱に起因して競争環境が激化し、価格競争などで苦しい状況が続いていたとみられる。百度と設立した合弁会社については当面は継続して「残務処理をしていく」(同)考え。
中国におけるネット販売は、先日ヤフーもタオバオと連携した商品の相互供給サービスを終了したほか、スタートトゥデイもビジネスモデルを見直すなど大手各社で苦戦が続いている。日本最大の仮想モール事業者である楽天の撤退は、今後の中国市場参入の動きに影響を与えそうだ。