経済産業省がまとめた「平成24年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2012年度における国内の消費者向けネット販売(BtoC-EC)の市場規模は、前年比12.5%増の9兆5130億円だった。対象の全業態で売り上げが前年を上回っており、ECの浸透度合いを示すEC化率も0.3ポイント上昇し3.1%。また、企業間におけるネット販売(BtoB-EC)も同4.1%増の178兆円、EC化率が17.5%と、1.4ポイント上昇した。
小売分野の全業種が前年をクリア
BtoC-ECでは、小売およびサービス分野の全業種・業態の売り上げが前年
をクリアした。
小売分野で最も売り上げ規模が大きいのは、総合通販や百貨店、GMSなど「総合小売業」の1兆8910億円で、前年比6.1%増。同調査では、総合通販事業者の間でネット経由の売り上げが拡大傾向にあり、衣料品などで、気候などに応じ、よりタイムリーな情報提供や商品提案ができるECの取り組みを強化していること、百貨店なGMSなど小売事業者でも、新たな販路としてECの育成を進めていることなどが堅調な伸びの理由と分析する。
「総合小売業」に次いで売り上げ規模が大きいのは、「自動車・パーツ、家具・家庭用品・電気製品小売」の1兆4260億円で、前年比14.4%増と順調な伸び。家電製品で、11年3月の家電エコポイントの終了、同年7月の地デジ完全移行などで苦戦傾向もあったが、全般的には、大手量販店を中心に売り上げ規模が拡大したという。
また、「食品小売業」は、ネットスーパーの展開拡大などを背景に、売り上げ規模が同13.7%増の6050億円に拡大。ドラッグストアなどの「医薬化粧品小売業」も同19.3%増の5010億円、「スポーツ・本・音楽・玩具小売業」が同9.0%増の4000億円と、順調な推移を見せた。「衣料・アクセサリー小売業」は、売り上げ規模が1750億円だったが、前年比21.5%増と高伸。同調査では「ゾゾタウン」などファッション系仮想モールの好調な推移、アパレルメーカーのネットを活用した販路拡大策の伸展などが高伸の要因と分析する。
このほかに、サービス分野でも「宿泊・旅行、飲食業」が同17.8%増の1兆4960億円、「娯楽業」が同12.2%増の1470億円と前年を上回る売り上げとなった。
カタログ通販実施企業や有力小売業、メーカーなどがECの取り組みを積極化しており、さらに国内BtoC-EC市場は拡大していきそうだ。