ヤフーとブックオフコーポレーションは4月24日に資本・業務提携を結んだ。ヤフーがブックオフに約100億円を出資。第三者割当により議決権ベースで15.02%の株式を取得し筆頭株主となる。新株予約権付社債もヤフーが引き受け、権利行使後の株式所有割合は43.22%となる。
提携により、ブックオフが全国に展開するおよそ1000店舗で買い取った本やCDをヤフーのネットオークションサービス「ヤフオク!」でも販売していく計画。ブックオフ店頭に買取受付窓口を設置し、多様な商材を買い取って「ヤフオク!」に出品。さらにはブックオフが中古品に特化した大型の物流センターを開設し、店頭で買い取って「ヤフオク!」で販売する商品を集約していく。
ネット以外の場で中古品を売る層を取り込んでいきたいヤフーと、実店舗以外にも商圏を拡大させたいブックオフとの間で思惑が一致した格好だ。
中古本を2016年度までに5倍に
「『ヤフオク!』とブックオフ、ネットとオフラインが混然一体となってリユース革命を行っていく。コンセプトは一言で言うと『ヤフ! OFF』です」──。4月24日、両社による資本・業務提携の記者発表の場で、ヤフーの宮坂学社長はこう切り出した。
両社はまず「ヤフオク!」内にブックオフの専用ストアを開設し、ブックオフの店舗にある中古本を販売する。「ヤフオク!」では現状、およそ200万冊の中古本を扱っているが、ブックオフとの連携により2016年度までに5倍となる合計1000万冊の品ぞろえを目指す。
ブックオフが全国に持つおよそ1000店舗を活用した買取も強化していく。今年7月にブックオ フ 店 舗 内 に「総合買取受付窓口」を設置。ブックオフ店頭ではこれまで、中古 本、CD、 ゲームソフト、携帯電話などの買取を行ってきたが、買取対象を時計、ファッション、ブランド品、スポーツ用品、雑貨などに拡大する。買い取った品物は「ヤフオク!」に出品していく。
また、ブックオフはヤフーから調達した資金を使い、2015年度中をメドに中古品に特化した大型物流センターを関東圏に開設する。センターは延べ5万平方メートルの規模で、ブックオフ店頭で買い取り「ヤフオク!」で販売する商品の一部をセンターに集約する。
なお、ヤフーは昨年3月に、書籍を扱うネットオフ、家電のソフマップ、ブランド品のデファクトスタンダードの3社の中古品買取事業者と連携して「ヤフー!買取」というサービスを開始。こちらについては、並行して継続していくもよう。
「売るのが面倒」の解消へ
ヤフーの宮坂社長によると、ユーザーが「ヤフオク!」に出品しない理由として「ネットで売るのが面倒」というのが常に挙がるという。写真撮影、出品作業、入札・落札の手続き、発送など一連のやり取りがとにかく面倒だという人がまだ多いようだ。
ネット内の使い勝手を改善するだけでは限界があるため、ヤフーでは「もしも家のすぐそばに『ヤフオク!』の出品を受け付けてくれる場所があれば出品する人が増えるのではないか」(宮坂社長)と考えた。そこですでにリアル拠点による中古品販売の分野で強いブックオフと組むことになったというわけだ。
一方、ブックオフの松下展千社長も「私どもも課題を抱えていた」という。店舗に持ち込まれた品物を買い取っても、販売するためには「商圏の限界があり、売れ残ってしまうことが起こる」(松下社長)というのだ。そのためヤフーと手を組むことで露出の拡大を図っていこうと判断したようだ。
中古品販売の分野でネットとリアルの双璧が手を組んだ今回の取り組み。リユース市場の開拓が進むのか、今後の展開が注目されそうだ。