無料通信アプリ「LINE(ライン)」を展開するLINEは、運営する仮想モール「LINE MALL(ラインモール)」で法人の出品を始める。
昨年12月末にプレオープンを始めてからこれまで、セールなど一部のサービスを除いて一般ユーザー同士がモノを売買するCtoC向けのプラットフォームだったが、いよいよ法人に門戸を開くこととなった。
もっとも、いくつかの限定したサービスで法人の出品を受け付ける予定で、楽天市場やヤフーショッピングなどのように幅広い企業を対象とした仮想モールとはならないようだ。出品の詳しい条件などもまだ不明だが、新サービスに合致した商品を提供できる企業とであれば、「すぐにでも取引を行いたい」(舛田淳上級執行役員)とする。
実際、新サービス発表以降、同社に出品の問い合わせが殺到したようだが、果たして企業側にとって新たなビジネスチャンスとなるのだろうか。
共同購入など4サービスを開始
LINEが8月27日に都内で開催した新戦略発表の場で、新たに開始する4つのサービスで法人の出品に対応することを明らかにした。
それぞれのサービス内容を見ていくと、まずは「LINE」でつながっている複数の友人間で商品のまとめ買いができる「グループ購入」というサービスを始める。商品は食品や飲料品、日用品などを扱い、通常の販売価格から最大で50%オフで共同購入することができる。同サービスは8月28日から始めており、開始当初は以前からラインモール内のセールなどで取引があったネットプライスやジェイグラブといった企業が参加してテスト運営を行い、サービス内容を検証している。
2つめのサービスが「ギフト」。「LINE」でつながっている友人にギフトを送ることができるというもの。購入者はラインモール内でギフト商品を購入し、「LINE」の友だちリストから送り先を選択するだけで、相手の住所を知らなくても送付が可能で、複数人が費用を分担して購入することにも対応する。「ギフト」は今秋以降の開始を予定している。
3つ目は「マルシェ」。ラインモール側が生産者と契約を結び、収穫したての農作物や水揚げされたばかりの魚介類など産地の食材を直接購入できるサービスとして年内に開始を予定。
4つ目が「セレクト」。こちらも年内をメドにローンチする予定だが、実店舗を展開している人気のセレクトショップと契約し、店頭で扱っている商品をラインモールを通じて購入できるという仕組み。アパレルや雑貨などを扱うショップが参加する予定で、具体的な店舗数などは未定だが、LINEでは現在全国のセレクトショップをまわって参加を提案している。
通販企業からの問い合わせも
27日の発表後、LINEには問い合わせが殺到したようで、当日のプレゼンを担当した同社上級執行役員コマース・メディア担当の島村武志氏によると「全窓口に電話がかかるような状態だった」とのこと。例えば実店舗の商品を扱う「セレクト」についての問い合わせで多かったのは通販企業からだったが、「今の段階ではこの枠にははまらないとお話させてもらっている」(島村氏)。
つまり店舗を持たない通販企業はサービスの内容や趣旨と合致しないため取引は難しいということだ。このようにあらゆる企業に門戸を開くということではなく、それぞれのサービス内容などに合致した場合に出品を受け付けていくとみられる。8月末に始まった「グループ購入」もまだテスト段階のため、「機能ができて本格的に展開できるようになれば改めてご案内して出品していただく」(同)としている。
なお、これまでユーザー同士がフリーマーケットのように売買する場合に手数料は完全無料だったが、法人が出品する場合はサービスごとに一定の販売手数料を徴収していく。