ソーシャルメディア活用最新事情 ネット販売各社の成功事例から探る

  • 2014年10月25日
  • 2020年8月26日
  • 特集1

TwitterやFacebookが人口に膾炙(かいしゃ)するとともに、注目を集めた「ソーシャルメディアマーケティング」。既存の販促策に比べて「お金をかけずに1to1マーケティングができるのでは」といった思惑もあったようだが、成果は出ているのか。確かに、企業のソーシャルメディア活用は当たり前になったが、「効果測定」という点については、なかなか見えてこないのが実情。SNSとコマースの融合を目指したものの、志半ばで終了したサービスもある。「ソーシャルコマース」という言葉が良く聞かれるようになってから約3年。EC各社の成功事例をもとに、マーケティングの最新事情を探った。

事例①ニッセン

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つぶやきから意外なコラボ商品が誕生

ニッセンのツイッターアカウント

ニッセンのツイッターでは、つぶやき担当の「スミス」さんが人気キャラクターとなっており、スミスさんのつぶやきから意外な形でのコラボレーション商品も生まれている。

ツイッターアカウントによると、スミスさんは「36歳男性」で、つぶやきには「三国志」や「機動戦士ガンダム」、「ジョジョの奇妙な冒険」「銀河英雄伝説(銀英伝)」など、同世代の男性にファンが多いアニメや漫画、小説などを題材としたものが散見されるのが特徴で、シャープやタニタなど、ツイッターを積極的に活用する他企業アカウントとの「絡み」も目立つ。

同氏が有名になったのは、ユーザーによる「ネタ」問い合わせに対する回答。例えば「石仮面(編注:ジョジョの奇妙な冒険に登場するアイテム)の入荷はいつですか?」という問い合わせに対して「見つけた弊社バイヤーが一念発起して波紋使いになってしまうので、具体的な進捗はまだないんです」といったように、「ジョジョファン」ならうなずくような、ユーモアのある「返し」が人気となった。

最近話題となっているのが、人気小説・銀英伝とのコラボレーション企画だ。ユーザーからの「ニッセンさんは銀英とコラボなどいかがでしょう」という声に対し、「銀英伝は日ごろからオーベルシュタインとフレデリカ(編注:小説のキャラクター)を、たゆまずしっかり押していきたく思っております」とツイートした。これに対し、銀英伝の作者である田中芳樹さんの事務所代表・安達裕章さんが、「田中芳樹事務所的には、いつまでもお待ちしております」とわずか40秒後に返信。トントン拍子でニッセンが「ラフ案を作って送る」という流れに。

そして9月1日、コラボ企画「わが征(ゆ)くは星の通販」の第1弾として、スマートフォンケース3種類、ワイングラス2種類、Tシャツ2種類の合計7種類を発売。発売を記念し、シャープのロボット掃除機「COCOROBO」の「疾風ウォルフモデル(非売品)」を、発売日から1週間以内の購入者から抽選で10名にプレゼントした。アニメ版で主要登場人物のウォルフガング・ミッターマイヤー役を務めた声優・森功至さんの新録音声100種類以上を収録したという、マニア心をくすぐるもので、当選者には原作者である田中芳樹氏のサインを同封した。

売れ行きは好調なようで、同社ツイッターで発売日の10時9分に販売開始を告知。19分後の10時28分に「初回入荷在庫数まで注文が達した」という旨のツイートがあった。ツイッターでは事前に「在庫は多めにご用意しています」ツイートしていたが、予想以上のペースで注文が殺到したようだ。

ニッセンでは今回の取り組みについて、「当社の企画というよりも、『スミス案件』というべきもの。スミスはバーチャルな世界のキャラクターという位置付けなので……」(ニッセンホールディングス広報企画室)と多くを語りたがらない。ニッセンは若い女性が主力顧客のため、スミスさんの「ネット住民に受けるキャラクター」とは相容れない部分があるのだろうが、これまでニッセンを良く知らなかった層へのアピールができているのは確か。

また、コラボグッズ売り切れの際に丁寧にサポートのツイートをしたり、第2弾として発売予定のコラボグッズのサンプル写真を先行して紹介したり、ツイッターの活用法は他社が学ぶべき点も多いはずだ。

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