画像訴求SNSで顧客獲得へ勝てるインスタグラムのEC活用とは

企業が画像共有SNS「インスタグラム」を使うケースが増えている。くちコミ
によってコストをかけず多くのユーザーにリーチできるという意味では他のソ
ーシャルメディアと同じだが、画像訴求によって消費者に一目で伝わるのが魅
力のようだ。利用事例の多くは商品画像の投稿だが、成果をあげる企業も出て
きている。画像訴求SNSの活用事例を見ていく。

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投稿の「いいね!」数で新商品の販売量を決定

【事例① ストライプインターナショナル】

「アースミュージック&エコロジー」などのレディースブランドを手がけるストライプインターナショナルは3月に、展開しているアパレルブランド「イーハイフンワールドギャラリー」からインスタグラムを絡めた新レーベル「サーカス」を立ち上げた。“インフルエンサー”と呼ばれる、ネット上で多くのファンを持ちくちコミの拡散力がある人々と共同で、洋服を売っていこうというのが狙いだ。

十数人をインフルエンサーに

イーハイフンのターゲット層は10代後半から20代前半の女性。そこでサーカスではそうした層から人気のモデルやタレントをインフルエンサーに起用している。

ゆうこすさんがインスタグラムを通じてサーカスの第一弾商品を発表。多くの「いいね!」がついた。

サーカスで起用したインフルエンサーは菅本裕子(ゆうこす)さん、池田美優(みちょぱ)さん、加藤ナナさん、SAKURAさん、黒瀧まりあさん、ゆらさん、斎藤みらいさん、小沼瑞季さんなど数十人。
同社イーハイフンワールドギャラリー事業部で部長代理を務める福田雅樹氏によると、インフルエンサーの選定について「フォロワーが目安で6万人以上いることや、普段から服にこだわりがある方たちを選びましたが、コラボして服を作ることでお客さんにどう影響するかを考えました」(福田氏)と説明する。

サーカスの特徴はこうしたインフルエンサーの起用だけでなく、商品の販売量の決め方にある。
販売する商品は各インフルエンサーがそれぞれ数アイテムのデザインを担当して、商品が完成すると本人が順次インスタグラム経由で告知する。そして商品画像がインスタグラムにアップされてから24時間が経過した段階の「いいね!」の数に比例した数量を、店頭と自社通販サイトの「ストライプクラブ」で販売するという仕組みになっている。
商品は、インフルエンサーからイメージをヒアリングしたストライプインターのデザイナーが具体的な形にして、そのサンプルを修正していく。デザインからインスタグラムでの告知を経て、最終的に店頭や通販サイトに並ぶまでに2カ月程度かかるようだ。

通販サイトで「即完売」

サーカスの第一弾としてタレントのゆうこすさんがデザインを担当。2月末に1つ目の商品を自身のインスタグラムのアカウントで発表した。
「コラボ商品1つ目の発表! サーモンピンクのキャミワンピをデザインしました!」─。ゆうこすさんのこの投稿の後、インスタグラムにはすぐに「いいね!」がつき、24時間のうちに「いいね!」は2万近くになった。告知した商品は3月5日から店頭に並んだが、通販サイト「ストライプクラブ」では先行して3月4日午後10時から発売した。

通販サイトでは発売と同時に「即完売だった」(福田氏)という。具体的な販売数量は公表していないが、「そこそこの在庫は用意していた」(同)ものの、販売開始から数秒で売り切れたようだ。
この背景には、ゆうこすさんがサイトでの発売前からインスタグラムで積極的に告知を行って購入を促したことも影響したとみている。通販サイトでは初回限定分がすぐに完売したため、その後は予約販売に切り替え、数量が上限に達するまで販売した。

自社通販サイト「ストライプクラブ」では商品が即完売に

ブランドっぽさにこだわらず

新レーベル「サーカス」では、これまでのイーハイフンのブランドイメージに捉われず、インフルエンサーの個性を生かすことで新たな顧客の獲得につなげるという狙いがある。そのためインフルエンサーを選定する段階で“イーハイフンっぽさ”にはこだわらなかった。「今までであれば、イーハイフンとゆうこすさんとは紐づかない」(同)。あえて既存のブランドっぽさにこだわなかった結果、「今まで(イーハイフンには)いらっしゃらなかったような人々から購入されている」(同)というわけだ。
インフルエンサーにはそれぞれ熱烈なファンがついているため、そうしたユーザーを取り込めるのはブランド側としても魅力。実際、ゆうこすさんが商品を告知したインスタグラムのコメント欄には「ほんとにほしい」「絶対買います」といった熱烈な投稿も見受けられる。
加えて、サーカスが採用した仕組みであれば「いいね!」の数に応じて商品の販売数量を決めるため、消費者の潜在的なニーズを事前に見極めて、適正な在庫量を確保できるという利点もある。これにより商品の在庫リスク低減につながることも期待される。

続々とインフルエンサーが商品を発表。画像は2人 目の斎藤みらいさんが商品を告知した投稿

SNSマーケでは「いい事例」

そもそもイーハイフンでは昨年からSNSを強化している。今までは雑誌とのタイアップが多かったが、それだけでは売り上げへの効果がそれほど見込めない。そこでSNSを使い、インフルエンサーと協業することで売り上げアップが見込めると考えたようだ。
そこから試行錯誤を経てサーカスというレーベルにいきついた。ストライプインターナショナルが手がけるランドの中でもイーハイフンは、インスタグラムやツイッターなどの活用頻度が多い世代と付き合っているため「一番反応がいいのでは」(同)と考えてはいた。実際にレーベルがスタートして立ち上がりの状況を踏まえた上で、「どういう風にSNSを使ったマーケティングを行うかという意味で、今回はいい事例だった」(同)と手応えを感じている。

“成功パターン”の探求も必要

福田氏に課題について尋ねると、“告知の仕方”だという。あおり方はインフルエンサーによって異なり、インスタグラムでの発信の仕方もそれぞれ特色が出る。「発売のタイミングでファンの方にどう告知していくかは模索が必要」(同)。訴求方法については現状、各自のやり方に任せているが、そこにおける“成功パターン”の探求が求められる。
成功に終わったゆうこすさんの次は、斎藤みらいさん、小沼瑞季さん、黒瀧まりあさん、ゆらさんといった具合に、インフルエンサーのコラボは続いている。同社では今回の春夏モノが終われば、秋冬モノでも新たなインフルエンサーを起用して、商品を投入していく計画だ。

画像訴求型のSNSであるインスタグラムを活用したファッションレーベルはまだ始まったばかりだが、福田氏は「生の声を吸い上げることができるため、お客様がどういうものを求めているかが分かる」と述べ、ビジネスモデルとして期待を寄せている。

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