【通販家具】顧客を取り込むEC各社の工夫とは?

リクルートライフスタイルではソファだけに特化した展示会を開催

家具・インテリア業界は住宅業界との結びつきが強く、不動産市場の好不調に引きずられるようにして動く部分が非常に大きい。直近の家具・インテリア市場全般の状況を見ると、消費増税を見越した不動産購入や引っ越しなどによる駆け込み需要が高まったため、新生活向け商品の販売が大きく伸長。しかし、増税した2014年4月以降は、駆け込みの反動を受けて停滞気味になっていた。その上、原材料である木材調達のほとんどを海外で占めているため、円安の影響を大きく受けて商品単価が高騰するなどマイナス材料が多い状況となっている。

元々、購入頻度が高いとは言えない商材であるが故、一通りの家具を購入してしまった顧客を再び売り場に呼び戻すことは非常に難しい作業だ。しかしながらいくつかの有力通販サイトではリアルを巻き込んだ販促施策を行ったり、商品戦略に独自性を持たせることで顧客の需要を喚起し、囲い込みにうまくつなげている事例もある。

今回は家具・インテリア通販において自社ならではの特徴を持った施策に取り組んでいる事例をいくつか取り上げていく。

イベント来場者に秘密のURLを配布、限定特典で引き込む

リクルートライフスタイルが手がける家具・インテリアの通販サイト「TABROOM(タブルーム)」は、当初、情報サイトとして展開していたが2014年7月に通販機能を導入。約220ブランド、約6300点にも及ぶ最新の商品情報を網羅しており(通販ページでの取り扱いはソファ、チェア、テーブル、デスク、収納家具の5カテゴリーの約200点で開始)、そのほかにも全国店舗約6600店の家具販売店・インテリアショップのエリア別検索機能、関連ニュース配信機能などを有している。

その同社が2015年1月に都内の商業施設で実施したのが、各ブランドの売れ筋ソファだけを集めた展示会だ。タブルームに掲載する1500点(色・素材違いを含めると2万点)のソファの中から、参画する約50ブランドの直近5年間で一番販売台数の多かった商品だけを集めて行った。

会場ではすべての商品を試用、試座、写真撮影できるほか、取り寄せなどによる注文販売も実施。あくまでも「実物を試したい」という顧客の声を受けて行ったイベントのため、販売員などによる接客は行わずに来場者それぞれのペースで自由に見て回れるように配慮した。

来場者には秘密のキャンペーンページのURLを記載したチラシも配布。URLから同ページにエントリーすることで商品購入する際に、「リクルートポイント」を5%還元(通常は2%)したり、商品の開梱・設置費用と1年間保証の無料化や特性クッションカバーのプレゼントを受けられる来場者限定の特典を提供した。

元々、同サイトでは高額商品を中心に扱っていたことからポイント還元の効果も高く、初日から購入に関する問い合わせを何件か受けるなど販売につながる手応えは大きかったという。通販機能を導入する以前にも同様のイベントを行ったことがあり、その時は2日間で1300人近くが来場。今回は土日を含む3日間の日程で、2000人近い来場があった。

「家具の中でも特にソファは実際に触って座ることを試したくなる商品。各ブランドもショールームを持ってはいるが、駅から遠かったり入るのに敷居が高く感じられるような雰囲気の場合も多い。だからこそ、気兼ねなく見られるように接客も排除した形で多くのブランド品を(都心に)集めてみた」(塩見直輔タブルーム プロデューサー)とした。

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