主要仮想モール別”ポイント販促”のコツ

         14年末に実施した「おもてなし総選挙」

多くのネット販売事業者にとって欠かせない「売り場」である仮想モール。とは言え、大勢の出店者の中で、ユーザーに自社の店舗を選んでもらい、購入してもらうためには様々な施策が必要となる。その1つが「ポイントの活用」だ。各モールが採用するポイントを適切に使いこなし、いかに効果的にユーザーを誘導できるか。それにはモールごとにいくつかの“コツ”があるようだ。各仮想モールの運営事業者に「ポイント」を使った販促のツボを聞いてみた。

事例①楽天市場

スポンサードリンク

高還元率の「楽天スーパーDEAL」、獲得した新規の固定客化カギに

楽天が提供する「楽天スーパーポイント」は、仮想モール「楽天市場」だけではなく、同社が提供するサービスで共通して使えるポイントだ。また、近年では「Rポイントカード」の導入により、コンビニエンスストアなど実店舗でも利用可能になった。

毎月さまざまなポイントキャンペーンを実施している楽天市場。楽天の楽天市場事業マーケティング部プロモーション推進グループの坂本洋二サブマネージャーは「事前告知することで習慣化を狙っている企画と、当日まで告知しない企画の両方がある」と話す。スーパーセールやお買い物マラソンのような「買い回り」を狙った企画の場合は、事前告知による周知を徹底している。また、毎週水曜日に開催する、ポイント最大6倍の「水曜得得デー」のような習慣化を狙った企画は「店舗からも予定が立てやすいと好評だ」(坂本サブマネージャー)という。一方で、ポイントアップの告知は「買い控え」を起こしかねないため、当日まで告知しない企画もある。

イーグルス(プロ野球)やヴィッセル(Jリーグ)の勝利翌日にポイントがそれぞれ1倍得するキャンペーンを代表に、「楽天ツールバー」経由の購入でのポイント増など、さまざまなポイント獲得手段がある楽天。ただ、ヘビーユーザーは「得するため」の仕組みを理解しているが、ライトユーザーには伝わっていない部分もあるようだ。坂本サブマネージャーは「パッケージ化して『これらのサービスを使えばポイントが最大5倍になる』と示すなど、コミュニケーション改善に取り組んでいる」と話す。

また、ライトユーザーによりポイントに目を向けてもらうため、コンテンツも充実させている。例えば、2014年末には「おもてなし総選挙」を実施。楽天市場のショップ店長が「来年のマニフェスト」を公表し、ユーザーが面白いと思った店舗に投票するというもの。「この企画をフックにポイントキャンペーンにデビューしてもらえれば、という意図もあった」(坂本サブマネージャー)という。ポイントが販促として「主役」なのは間違いないが、そこに付加価値の高いコンテンツを絡めることで、より流通を活性化させようという狙いだ。

「期間限定」をいかに消費させるか

こうしたモール主導のキャンペーンで付与されるのは期間限定ポイントだ。これをいかに消費するか、というのがユーザー視点でも店舗視点でも重要になってくる。最近はRポイントカードができたことで、コンビニなど実店舗で消費できるようになったが、「死んでいく」ポイントが発生しては、ユーザー・店舗ともに得をしない結果となるからだ。

短期間に消費してももらうことで流通押し上げを狙っているわけだが、現在は、期間限定ポイントが付与されるまで3カ月かかるため、ユーザーが「ポイントが付くことを忘れている」というケースもある。坂本氏は「決定事項ではないが、ポイント付与までのラグは短くしたいと思っているし、使える期間にしてもある程度伸ばしたいと思っている。そうすれば、より楽天スーパーポイントに魅力を感じてくれるのではないか。また、年間のポイント獲得額を分かりやすく表示することで、『これくらいの額を得した』と感じてもらえるようにしたい」と話す。

テストマーケ活用例も

楽天スーパーポイントは、ネットでの流通量については群を抜いているだけに、店舗にとって魅力的なポイントであるのは間違いない。スーパーセールやお買い物マラソンといった、モールへの来訪者が多い時期に、自社でポイントを負担して増額すれば、集客効果も大きい。

とはいえ、せっかくポイントを付与しても、リピーターになってもらえなければあまり意味がないわけだ。

楽天では昨年12月から、新サービスとして「楽天スーパー DEAL」を開始した。これは、ポイント還元率を高くした商品を販売する常設コーナーで、主に30%以上のポイント還元商品を紹介している。消費者が商品を購入すると、価格に応じて「楽天スーパーポイント」を特典として付与。ポイントは店舗が負担するほか、商品売り上げの10%が掲載手数料として発生する。

開始時の参加店舗数は約800店で商品数は約2400だったが、現在は約1000、約1万にまでそれぞれ拡大。楽天市場事業営業戦略部第一営業グループの高田恵梨奈マネージャーは「楽天市場トップから強烈な導線があることが大きい」と好調な理由を説明する。

店舗からすれば、売り上げがなければ課金は発生しないため、比較的気楽に商品を出品することが可能だ。新商品を扱う場合、まずスーパー DEALで販売してレビューを貯め、結果として楽天市場内での検索ランキングが上がるという成功事例もある。また、「AとBはどちらが売れるか」を確かめるために、テストマーケティングとして使う店舗も出てきているという。

また、新規客が獲得しやすいというメリットもある。商品が目立ちやすいこともあり、「リピーターばかりで最近新規が取れていないという店舗にはぜひ活用してもらいたい」(高田マネージャー)。

ポイント付与までの期間短く

スーパー DEALで扱う商品ジャンルには大きな偏りはないが、「当初は家電やブランド品などが売れると思っていたが、意外に食品が好調だ」(同)という。流通額については非公表だが、右肩上がりで伸びているようだ。

スーパーセールとの大きな違いは「大幅に値引きをするか大量のポイントを付与するか」という点だ。商品によっては、あまり大きな値引きはできないので、ポイントを付与することで新規客を大量に獲得したいという店舗には向いている。露出という面では、楽天市場トップからの導線があるので、売れた際に発生する手数料を「広告費」と捉えることができれば、参加しやすいサービスといえる。

実際に店舗からは「固定費が必要ないので商品を出しやすい」(同)という声が挙がっているという。ただ、問題は獲得した新規客をいかに固定客にできるか。当然のことながら、付与されたポイントは他店でも使えるため、クーポンをこまめに出すことなどで再来店を促す工夫が必要だ。

スーパーDEALのポイントは、購入から20日後に付与される。実は、当初は購入から2カ月後に付いていたのだが「それだと顧客のテンションが上がらないのでは、という意見が出て」(同)現在の仕組みとなった。

高額商品を買えば、それだけ還元されるポイントは大量なだけに、顧客に与えるインパクトも大きい。店舗にとっても、顧客が購入したことを忘れないうちにポイントが付与されるのは大きいはずだ。

さらなる知名度拡大へ

今後はさらなる商品数の拡大を進める。また、ページのオペレーションについても「突貫工事の部分があり、商品を探しにくいという声が出ている」(同)。スーパー DEAL内での検索ができないのが不便、という消費者からの意見があるようだ。

同社の三木谷浩史社長は、1月に開催した「楽天新春カンファレンス2015」でスーパー DEALについて「いずれは流通の30~40%を占め、流通総額は1兆円を超えるのでは」と発言した。そのためには、さらなる集客増と店舗への「高額ポイントを使った販促の効果」浸透がカギになりそう。

楽天市場からの導線については「やりきった感があるので、サービス開始時と同様にテレビCMの活用も考えたい」(同)という。

「ヤフーショッピング」「auショッピングモール」「ポンパレモール」のポイント販促のコツなど続きは本誌にて→購読申込はこちら

NO IMAGE

国内唯一の月刊専門誌 月刊ネット販売

「月刊ネット販売」は、インターネットを介した通信販売、いわゆる「ネット販売」を行うすべての事業者に向けた「インターネット時代のダイレクトマーケター」に贈る国内唯一の月刊専門誌です。ネット販売業界・市場の健全発展推進を編集ポリシーとし、ネット販売市場の最新ニュース、ネット販売実施企業の最新動向、キーマンへのインタビュー、ネット販売ビジネスの成功事例などを詳しくお伝え致します。

CTR IMG